入管法改正に伴い、健康保険法も改正し、健康保険を適用する外国人労働者の扶養家族の範囲を日本国内に居住している人に限定しようとする動きは、こうしたイメージのなかから生まれてきたものだ。

 厳しい保険財政を考えると、健康保険を適用する扶養家族に一定の線引きをすることは必要だと考えも分からなくはない。だが、扶養家族が日本国内で暮らそうが、本国で暮らそうが、その外国人労働者の収入で暮らしているなら、病気やケガをしたときの医療費負担も肩にのしかかってくるだろう。

 1927年(昭和2年)に健康保険法が施行された背景には、労働争議が絶えなかった当時、労使間の協調を図って、国家産業を発達させるためには、病気やケガをしても仕事を辞めずにすむ制度を作り、労働者の生活を安定させるという意図があった。その後、労働者が安心して働くためには、扶養家族の健康も含まれるという考えから、被扶養者にも適用範囲が拡大していった。

 11月14日に行われた厚生労働省の社会保障審議会医療保険部会では、委員の1人から、健康保険を適用する外国人労働者の扶養家族についての質問が出たが、担当課長は「国内に限定することを固めた事実はない」と回答。まずは、現行法のなかでの運用の強化を行うとして、慎重な態度をとっていた。

 憂いなく安心して仕事に専念するためには、家族の健康も重要な問題で、外国人にも同じことがいえるはずだ。日本に来る外国人労働者に安心して働いてもらうためにも、健康保険の扶養家族の適用範囲は、財源論だけにとらわれない慎重な議論が必要だろう。

(フリーライター 早川幸子)