空気という妖怪の正体をつかむ「7つの視点」
新刊『「超」入門 空気の研究』は、『「空気」の研究』を構造から把握するために、次の7つの視点で紐解きます。
●第1章「空気という妖怪の正体」
なぜ空気が合理性を破壊するのか。不可能とわかり切っている作戦をなぜ決行するのか。この章では、日本人が合理性と空気の狭間で引き裂かれている理由を解説します。
●第2章「集団を狂わせる情況倫理」
日本人は共同体、集団になると、なぜか愚かな決断をしてしまう。ムラ社会と言われる日本で、空気が共同体にどんな影響を与えているかを解説します。
●第3章「思考停止する3つの要因」
日本社会の中に、空気の拘束をより強力にしてしまう要素が存在します。何が空気を狂暴化させているのか、日本人の思考法とともに空気の構造を読み解きます。
●第4章「空気の支配構造」
空気が日本社会を支配するときの、3つの代表的パターンを紹介して、精神的な拘束が、物理的な影響力に転換される構造を明らかにしていきます。
●第5章「拘束力となる水の思考法」
加熱した空気を冷やす「水」という存在。山本氏の記述から、水の機能とその正体を解説し、その限界を明示することで、空気を打破する新しい入り口を考えます。
●第6章「虚構を生み出す劇場化」
空気は虚構を生み出すが、人間社会では虚構こそが人を動かす。日本人が、虚構の劇場化で社会を動かし、時に狂う理由を、歴史を踏まえながら解説していきます。
●第7章「空気を打破する方法」
山本氏の解説した「根本主義(ファンダメンタリズム)」などから、本書第6章までの分析を踏まえて、空気打破の方法を発展的に論じます。
山本氏は空気の拘束から脱出するためには、その正体をまず正確に把握すべきだと何度も強調しています。
日本社会に息苦しさを生み出す空気と、個人に自由を許さない共同体原理。日本の組織を支配して、時に合理性を完全に放棄させるその恐ろしさ。太平洋戦争の惨禍と社会統制の異常な時代を体験した多くの日本人は、空気の異常性を訴え、空気打破への願いを込めて、さまざまな形で空気の正体を描写しようとしてきました。
山本氏の『「空気」の研究』は、空気打破への英知の集大成と考えることもできます。
私たち日本人は、明治維新から150年を経て、空気を打ち破る入り口に立っています。今こそ、悲惨な歴史を繰り返さないため、健全な未来を創造するために、『「空気」の研究』からその打破の方法を学びとるべきなのです。
(この原稿は書籍『「超」入門 空気の研究』から一部を抜粋・加筆して掲載しています)