富士山の北麓、山梨県側には五つの湖「富士五湖」があるが、その富士五湖のうち最も小さい湖が精進湖である。その精進湖の南側には青木ヶ原樹海があり、樹海の向こう側には富士山が裾野を広げている。精進湖地域から眺める富士山は、側火山の大室山を富士山がまるで抱くように見えることから「子抱き富士」とも呼ばれる。湖畔から富士山を見ると、湖の対岸には人工物が一切ないのが特徴で、ここからは広大な樹海の彼方に富士山を見ることができる。まさに絶景だ。

 精進湖の三方は山々に囲まれており、その地形は半盆地のような形状をしている。精進湖北側の尾根を結ぶルートは、精進湖と樹海、富士山を望めることのできるトレッキングコースとしても有名だ。

 暦が冬至に近づくにつれ、太陽の日の出の位置が南寄りになる。富士山と朝日を同時に一つのフレームに収めるのに、精進湖エリアは絶好の場所だ。また、雲海と富士山を眺めることができる数少ない絶景スポットの一つだ。

 雲海は、湖や樹海の湿気を多く含んだ大気が、朝晩の冷え込みにより霧や雲になり、すり鉢状の地形に停滞することで発生する。季節が秋から冬に移り変わるこの時期に、この地域では雲海がしばしば見られる。

 精進湖の雲海を見るためには、北側の山々のいずれかに登山する必要がある。なぜなら、ひとたび湖面に雲が発生すると湖畔からは雲海も富士山も見ることができないからだ。今回、精進山近くの女坂峠付近からドローンを離陸させた。

(撮影・文/クレセントエルデザイン)