同社は宮城県内で最も早くサケの養殖を事業化した会社だ。だが、国産養殖のサケは、輸入品に押されて劣勢にあった。特に単価の高い刺し身は圧倒的に輸入品が多い。ならば逆に海外への輸出で実績を上げて、ブランド価値の向上を図ろうと考えたのだ。輸出のためにはASC認証取得は必須条件。そこで、資源管理を行いトレーサビリティーを明確にし、その取り組みの具体的な内容も開示することにしたのである。
この取り組みに西友が賛同し、資金援助や売り場での取り扱いなどで協力を得ることができた。目指すのは19年にASC認証を取得して、女川ギンザケが20年の東京オリンピックで調達される食材に選定されることだ。
女川の事例は、トレーサビリティー管理や資源管理にしっかり取り組むことが消費者や小売企業に付加価値として認められれば、立派に他との差別化要素になり得ることを示している。
高齢化や旧態依然とした制度に悩まされてきた漁業の構造問題にも、新しい風が吹きつつある。
東日本大震災をきっかけに、エリアや魚種を超えてつながってできた若手漁業者集団がある。その一つが、ヤフーが事務局を務めるフィッシャーマンジャパンだ。
震災後に、販路の共有とヤフーのショッピングサイトでの共同販売からスタートしたが、浜での人手不足の問題に直面した。