「基本」を学ばなければ、世の中を良くすることはできない
作家
経営コンサルタント、投資家を経て、育児生活中に作家になるビジョンを得て、執筆活動をスタートする。「お金と幸せ」「ライフワーク」「ワクワクする生き方」をテーマにした1000人規模の講演会、セミナーを全国で開催。インターネットラジオ「本田健の人生相談~Dear Ken~」は3500万ダウンロードを突破。著書は、100万部を突破した『ユダヤ人大富豪の教え』(大和書房)など、著書は130冊以上、累計発行部数は700万部を突破している。2017年にはアメリカの出版社Simon & Schuster社と契約。初の英語での書下ろしになる著書はヨーロッパ、アジアなど世界25ヵ国以上の国で発売されることが決まっている。(Photo by 森藤ヒサシ)
本田:家業を継ぐ道を選ばずに、大学に行こうと思ったきっかけは何だったのですか?
竹中:兄が東京の大学に行って道をつけてくれたこと、それから、高校の倫理社会の先生からもいい影響を受けました。
本田:どんな先生だったのですか?
竹中:田舎の県立高校には、「君は成績優秀だから東大に行きなさい」「受験をどうするのか考えなさい」と言う先生がほとんどです。でも、その先生は、違っていました。「まずは、社会のことを学びなさい」と言う。
で、先生の話をもっと聞いてみたくて、先生が宿直のときに、友人と2人で押しかけたんですね、コーラとおかきを持って(笑)。
本田:コーラとおかきというのが、高校生らしいです(笑)。
竹中:先生に「世の中を良くするには、どうしたらいいですか?」と聞くと、「それは僕にもわからないけれど、世の中というのは、『基本』がとても大事なんじゃないのかな」と。
「基本って何ですか」と続けて聞くと、「経済とか、法律とか、そういうことだよ。世の中を良くしたいと思うのなら、大学で『基本』をしっかり勉強したらどうだろうか」と答えてくれました。その瞬間に私は、「経済を勉強したい」と思ったんです。
私の好きなチャップリンの言葉に、「人生に必要なもの。それは夢と勇気と、そして少しのお金(some money)だ」という言葉があります。夢や一歩を踏み出すには、勇気が必要です。それと、「Big money」は必要ないけれど、「no money」では何もできない。だから世の中を支えるものは、やっぱり「経済」なんです。
私は、その先生のことを思い出すたび「教育者って、大事だな」と思いますね。先生はのちに、その高校の校長になり、教育委員会の委員長にもなりました。私が大臣になったときは、手紙をくださいましたよ。