例えば、リスク許容度がとても低く、老後にずっと債券に100%投資するという人の場合、とても困ったことが起こってしまうのです。65歳に定年退職してから毎月12.8万円を引き出すと、80歳までは100%の確率で資産は残りますが、90 歳の資産残存確率は8.8%、100歳は0%となってしまいます。つまり、80歳までは確実に生活資金が確保される一方、90歳以上の生活資金は債券100%の資産配分ではほぼ賄えないことになります。女性の大半は90歳以上まで生きると説明しましたが、これでは女性の長い人生にまったく対応できていないことになります。まさに「長生きリスク」が顕在化してしまうと言えるでしょう。

リスクをとれば解決するのか?

 では、リスクをとって高いリターンが期待できる株式に投資すれば解決するのでしょうか?

 実はそう簡単ではないのです。退職後にずっと株式100%の資産配分を維持した場合を考えてみましょう。確かに株式は高いリターンを長期で得られる可能性が高く、90歳の資産残存確率は47・2%、100歳は29・9%となります。これを見ると「債券よりもよいではないか」と思ってしまうかもしれません。でもちょっと待ってください。80歳時点での資産残存確率が実は81%まで下がってしまいます。81%というと高い確率のような気がしますが、5人に1人は資産が枯渇してしまうことを意味しています。また、別の視点から分析結果を見ると、最悪の場合(下位5%の確率で起こる悪いシナリオ)が実現すると、76歳で資産がなくなってしまいます。先ほど80歳時点の生存確率は、男性が71・1%、女性が86・3%と申しましたが、特に女性の場合、9割弱の人が80歳までは生存する中で、最悪76歳で資産がなくなるという結果は受け入れがたいと思います。

答えはその中間にある

 まとめると、債券100%は短期的には安心な一方、長期的にはリスクが高くなり、逆に株式100%は短期的にはリスクは高いが長期的なリスクを下げることができます。このように一言で言ってしまうと当たり前のように聞こえますが、この当たり前な結果を本当に理解しているオヤジはどのくらいいるのでしょうか?