去年の春頃、ある中国の若者に『ウェイボーって何?』と聞いたことがあります。すると彼は『自分の好きな女優のショートメッセージが毎日もらえるんだよ』と答えました。なるほど、そういう親近感が彼らの心をつかんでいるのだなと思いました。

 朝起きると、毎日好きなアイドルから『おはよう』とメールが届く。つい『おはよう』って返しちゃいますよね。なにしろ人口の母数が大きいですから、こうして毎月1000万人規模で飛躍的にユーザー数を伸ばしていったのです。ウェイボーは企業と有名人によるツイートという2つの車輪をうまく回して発展してきたと思います。」

2011年に起きた中国の高速鉄道事故、
ウェイボーがなければあれほどの騒ぎにはならなかった

――その後、ユーザーにとってウェイボーはどう変わっていったのでしょうか。

「昨年の高速鉄道事故の影響は大きかった。ウェイボーがなければ、あの場で車両を埋めている写真が出回って騒ぎが広がり、ついには温家宝首相が現場に現れるという展開は起きたでしょうか。『誰もが記者になれる』『情報の透明化が進んだ』。そう多くの中国人が感じたことは確かでしょう。

 東日本大震災がこれほど中国で関心を呼んだのも同じ理由です。驚くほど日本に対して同情的な応援メッセージが多かった。その一方、被災地で民家より大きな船が上に載った写真がウェイボー上に出回り、(四川大地震と比べて)日本の家屋はなんと強いのだろうというコメントが広がったものです。中国の建築だと一発で倒壊していただろうと。すぐに当局によって削除されてしまいましたが。」

■2011年に微博で最もシェアされた記事トップ5
1位 中国高速鉄道事故
2位 東日本大震災
3位 中国の社会問題
4位 仏像画像をシェアして幸せになろう
5位 スティーブ・ジョブス死去
(ウェイボー研究所の高橋学氏の調査から http://webken.or.jp