さらに、地方公共団体や独立行政法人等が統計調査を行おうとする場合にも総務大臣に届け出なければならないこととされている。

 基幹統計調査以外でもこのような手続が設けられているのは、かつて同種同様の調査が異なる省庁や部局により、さまざまな統計調査が乱発された結果、事業者や一般国民の大きな負担となっていたからだ。こうした過去の事情を踏まえ、そうした重複等を排除するためである。

 こうした制度設けられ、その上で統計調査が実施されて政府の統計が作成されているのであれば、不祥事など起こりようがないし、恣意的なデータの改ざんなどありえないはず、と思いたいところであるが、話はそう単純ではない。

統計制度の「枠外」で
起こった不祥事

 まず、先に例として挙げた不祥事のうち、この制度の対象として捉えられるものは繊維流通統計と毎月勤労統計であり、他の二つは対象外である。

 名称も外見上も統計調査のように見えるので以外に思われるかもしれないが、労働時間等総合実態調査は、「全国の労働基準監督署の労働基準監督官による全国の事業場への臨検監督業務の一環として実施」された業務統計として整理され、一般統計調査ではないので総務大臣の承認は不要とされた。

 つまり統計法に基づく統計制度の「枠外」で起こった不祥事ということであり、極端な言い方をすれば「やりたい放題統計調査」であって、これでは信頼性の担保はおろか、恣意的な運用さえ可能になってしまうということである。

 失踪した外国人技能実習生からの聞き取り調査についても、意見や意識を調査するものであって、統計法の範疇外。

 従って、うがった見方をすれば、これをどう取りまとめて分析しようと、調査実施部局の勝手次第ということだ。それでは野党側の分析の結果との大きな食い違いが出てくるのも自然の成り行きということであろう。

 一方で、統計法の対象である先の二つの統計調査でなぜ不祥事や結果についての疑義が生じているのか?

 まず繊維流通統計調査については、以前は指定統計調査(現在の基幹統計調査)であったが、途中で承認統計調査(現在の一般統計調査)に変更され、調査事項等の大幅な変更もなかったことから、ある種総務省の「監視の目」を逃れることができていたことが背景としてあるように思われる。