ルノー日産アライアンスを
巡る3つのシナリオ

 ルノーとの資本関係の見直しには、大きく3つのシナリオがある。

(1)フランス政府やルノーによる、日産の独立に対する介入を理由に、ルノー株式を25%以上へ買い増しを実施し、ルノーの議決権をなくしたうえで、資本関係・アライアンスの見直しを要求するケース。この場合、アライアンスは機能不全に陥り、結果的に解消のリスクがあるだろう。

(2)アライアンスの安定化に重点を置き、現状の株式出資構造を変えずに信頼関係の再構築を目指す。ただし、これには難問が立ちはだかるだろう。なぜなら、ルノーは日産の経営を長期的に再支配へ持ち込みたいという野望を捨て切れないだろうから、日産は、現状のRAMA以上に日産の独立性を担保できる合意を求めるはずだからだ。

(3)信頼関係の回復に重点を置き、25%未満の対等な株式持合いに資本構造を「リバランス」させ、対等な資本と精神でのアライアンスを継続することだ。

 両社の経営体制が固まっていない現状では、いずれの選択肢が実現するのか展開を予測することは困難である。

(1)のシナリオでは、日産は多額の投資資金を必要とし、かつアライアンスが機能不全に陥り本業への悪影響が懸念される。ある意味、企業価値の観点から最悪の展開である。長期的に無益な法廷闘争に追い込まれる可能性もある。

(2)のシナリオでは、両社は不信感を伴ったまま、非常に不安定な経営状況が長期化することになる。権力抗争の中で、本業活動への悪影響も懸念される。また、アクティビスト・ファンドが株主に登場するなど、投機的な圧力に株価が翻弄される可能性もある。

(3)のシナリオは最も現実的なソリューションに見えるが、「ハゲタカ」の著者である真山仁氏は、このような楽観シナリオは「甘い」と吐き捨てる。しかし、現実の世は、「小説」のように面白ければ、それでよしとはいかないのである。 

 アライアンスは双方がメリットを感じ、求め合う関係でなければ成立できない。精神として対等であった従来のアライアンスの関係を、資本の論理として対等にリバランスすることは、ルノー・日産双方にとってメリットのある形であることは明白だ。

 メンツやプライドを押し殺し、実を取れる次元の高い精神は、ルノーやフランス政府には可能ではないかと感じる。事実、過去19年に渡り、日本の文化や日産のアイデンティティをルノーやフランス政府が尊重してきたことは、疑いのない事実である。