昨年の日本人メジャーリーガーの話題は、何と言っても大谷翔平が投手・野手の「二刀流」で目覚ましい活躍を見せたことに尽きる。過去にもイチロー、松井秀喜などの外野手がアメリカ中にその名をとどろかせたが、内野手で成功を収めたといえる日本人選手は皆無だ。なぜ日本人内野手がメジャーで力を発揮するのは難しいのか、これまで2000試合以上を取材してきたMLBアナリストの古内義明氏に詳しい話を聞いた。(清談社 福田晃広)

日本トップクラスも
個人成績は低調

松井稼頭央選手も、日本時代ほどにはメジャーで結果を残せませんでした。あの松井稼頭央選手も、日本での大活躍と比べると、メジャーでの活躍は物足りないものに終わった。そこには、球場のハード面に関する日米の違いが関係しているようだ Photo:Thomas Anderson/AFLO

 少しでも野球に興味のある人なら「これまでメジャーリーグに挑戦した日本人内野手で成功したといえる選手はいない」という意見を強く否定はできないだろう。

 これまで2004年に当時“日本球界ナンバーワンの遊撃手”と鳴り物入りでニューヨーク・メッツに入団した松井稼頭央を筆頭に、翌2005年には、井口資仁(シカゴ・ホワイトソックス)、中村紀洋(ロサンゼルス・ドジャース)、2006年の城島健司(シアトル・マリナーズ)、2007年、岩村明憲(タンパベイ・レイズ)、2011年、西岡剛(ミネソタ・ツインズ)、2012年、川崎宗則(シアトル・マリナーズとマイナー契約)、2013年、田中賢介(サンフランシスコ・ジャイアンツとマイナー契約)と、これまで計8人の内野手がアメリカに渡った。

 何をもって、活躍したのかどうかを明確な基準で測ることはできないが、古内氏は、過去メジャーリーグに挑戦した日本人内野手たちを次のように評する。

「たとえば、井口資仁選手は1年目から135試合に出場。その年のワールドシリーズ制覇に大きく貢献しました。松井稼頭央選手も移籍先のコロラド・ロッキーズで2007年、シーズン前半はケガで出遅れたものの、復帰以降は二塁手で一番打者として起用され、チームの戦略的な期待に応えました。ただ個人成績としては、100%満足した結果を残せたと感じている選手は、ほぼいないでしょうね」(古内氏、以下同)

 たとえば2007年の松井稼頭央が残した個人成績は、打率.288、4本塁打、37打点、盗塁は32個と、決して悪いものではない。ただ、日本ではトリプルスリー(打率3割、本塁打30本、30盗塁)も達成したこともある選手だけに、成績としてはやはり物足りない。