強いチームが着ているブランドは、カッコよく見えて、それは売上にも直結する。正月の箱根駅伝は各メーカーが熾烈な戦いを繰り広げている舞台でもあるのだ。10年前には参入していなかったアディダスとニューバランスが加わり、群雄割拠の時代が到来している。その中で、“2強”といえるのがアディダスとナイキだ。

 アディダスは第67回大会(1991年)を制した大東大の選手が着用していたが、その後、箱根路から遠ざかっていた。華麗なる復活劇は、現在の絶対王者とともにある。青学大がアディダスとユニフォーム契約をしたのは2012年。アディダスの嗅覚は素晴らしかった。その年10月の出雲駅伝で青学大が優勝をさらうなど、日本長距離界で三本ラインが脚光を浴びるようになったからだ。

強豪校にのみ焦点をあてた
アディダスの徹底した戦略

 アディダス×青学大がフレッシュな活躍を見せたことで、原晋監督のもとには「アディダスを紹介してほしい」というチームが続出した。しかし、アディダスの“査定”はなかなか厳しいという。そんなアディダスが次なるパートナーに選んだのが明大だった。2016年にユニフォーム契約をかわすと、「過去や伝統なんて、関係ない。勝利を生み出すのは、今のキミたちだ。さあ、勝負のとき。明治、元年。」というコピーでポスターを製作。伝統のユニフォームの右胸に「エキップメント、スリーバー」が輝くことになる。

 明大は前回の箱根駅伝予選会で落選したが、4年前までは7年連続でシード権を獲得していた。今季は再浮上の気配を見せており、11月24日の八王子ロングディスタンス1万mでは阿部弘輝が今季日本人学生最高となる27分56秒45をマーク。今回は登録選手10人の平均タイムでは1万mで2位につけている。

 青学大と明大はアディダスと契約する前、ミズノのウエアを着ていた。急成長中のチームがユニフォームブランドを変更するのは、前メーカーと比べて、「契約内容」の良さを物語っている。外資系スポーツメーカーは日本メーカーと比較して、かなり細かい契約をかわすという。契約内容の詳細は分からないが、箱根駅伝の優勝で○○○というニンジンもぶらさがっているはずだ。ウエアやシューズなどがバンバン支給されるだけでなく、強化費を含めて、年間で1000万単位のお金が動いていると考えていいだろう。その対価として、メーカー側からは、イベント出演を求められたり、CMやポスターなどに起用され、“販促ツール”として活用されることになる。ちなみに青学大の男子短距離と女子はともにナイキのユニフォームを着用しているのが興味深い。

 アディダスはウエアやシューズを提供するだけでなく、契約フィジカルトレーナーである中野ジェームズ修一氏を青学大に紹介している。そして、「青トレ」(ランナーに特化したコアトレーニングやストレッチなど)が完成。その成果もあり、青学大は箱根駅伝で4連覇を成し遂げることになる。青学大はアディダスにとって、巨大な販売力を持つ“走る広告塔”に成長した。