民主主義とは、多数決の原理に基づいて多様な利害の調整を果たす政治の仕組みといえる。民主主義が機能を発揮するためには、中間層の厚みが重要だ。経済の成長とともに、基本的には中間層の厚みは増す。それが、国家全体での所得向上などにつながり、経済成長、所得再分配、社会保障制度などの持続性を支える。

 これに対して、韓国は財閥企業の成長を重視して経済を運営した。つまり、特定の大企業を優遇して経済成長を目指したのである。それは、政財界の癒着を生んだ一因だろう。中間層が育ちにくい中、歴代の政権は近視眼的な発想で支持獲得を重視した。近視眼的に政策が運営されると、長期の視点で構造改革を進め競争原理の発揮等を目指すことは難しくなる。

 その結果、韓国では一部の権力者と大企業に富が集中する、いびつな経済構造が続いてきた。見方を変えれば、富が偏在する中で経済格差が拡大し、政治や企業経営者などへの不満が社会全体で蓄積されてきたといえる。労働争議やデモが多いのはこのためだ。民衆の不満は政権支持率を左右する。この問題を回避し大衆の不満をくみ取るべく、韓国の政治家は過去の政治批判によって大衆の味方であることを主張し、ばらまき型の政策を重視してきた。

 政権発足時、文政権は、米中経済の回復という幸運に恵まれた。民衆の心理には、文政権の革新の成果を期待するだけのゆとりがあったのである。しかし、文政権下での経済政策の失敗や景気減速によって、不満が噴出している。文氏は、その事態を解決する政策を立案できていない。

内政問題を外交問題にすり替える文政権
今後の日韓関係の展開予想

 昨年12月、文大統領は元徴用工の判決に関して、「個人請求権は消滅してない」との見解を示した。同氏は、内政問題を外交問題にすり替えて、支持率が低下する厳しい局面を切り抜けようとしている。