センター試験も終わり、国立大志望者を中心に、本格的な小論文対策の時期を迎えた。
小論文は「対策がよくわからない科目」であるため、対策が後回しになりがちだ。
しかし、「実は、多くの受験生にとって、やるべきことは明確」というのは、元NHKアナウンサーの小論文講師で、現在6刷2万8000部超のベストセラー『全試験対応!直前でも一発合格! 落とされない小論文』の著者、「ウェブ小論文塾」代表・今道琢也氏だ。
本記事では、小論文の書き方を身につけておくと、受験だけではなく「将来的なメリット」がある理由についてお伝えする。(構成:編集部 今野良介)
小論文の基礎を固めておくと
その後の人生が有利になる
大学入試シーズン本番となりました。
近年、多くの大学で小論文試験が取り入れられていますが、学校ではほとんど教えられていない科目であるだけに、苦手としている受験生が多いようです。
「主要5教科の試験勉強が優先で、よくわからない小論文は後回し……」と考える受験生も多いのですが、これを機会に小論文の書き方の基礎を固めておくと、その後の人生で、大いに役立ちます。
なぜなら、大学受験後の人生でも、小論文試験はもちろんのこと、「文章で選抜される機会」が繰り返し訪れるからです。
大学入試に限らず、日本では、実にさまざまな場面で小論文試験が導入されています。
まずは就職試験です。公務員・教員を目指すのならば、ほとんどの自治体で小論文試験が必須です。マスコミ業界への就職を目指す場合も、同じです。
また、医療職を目指す場合、たとえば研修医の採用にあたって小論文を課しているところがありますし、看護師などの採用試験でも、小論文は多く取り入れられています。
公務員やマスメディア志望ではないから大丈夫、と思ったら大間違い。社会人になった「後」も、小論文試験はついて回るのです。
新入社員としてスタートし、係長、課長、部長とポジションが上がっていく際の「昇進試験」において、小論文試験は多用されています。官公庁はもとより、民間企業でも多いです。
拙著『落とされない小論文』を読んで私の塾を受講してくださった方の、実に4割ほどが昇進試験の受験者でした。これには、受験者が多いという以外に、もう1つの理由があります。高校生や大学生は、学校の先生やキャリアセンターなどが面倒を見てくれますが、昇進試験にはそういう「指導者」がいませんし、予備校があるわけでもなく、参考書籍も非常に少ないのです。
私が指導した例を挙げれば、物流企業、自動車メーカー、機械メーカー、百貨店、商社、IT企業など、実に幅広い業界で小論文試験がおこなわれています。
それだけではありません。
たとえば奨学金や補助金を申請する書類には大抵、「申請理由記入欄」があります。「書いた文章が合否の判断材料にされる」という意味では、小論文試験と同じです。
このように、「文章で選抜される機会」というのは、大学受験を終えた先も、繰り返しあるのです。もし小論文を苦手としていると、そのたびに壁にぶつかることになります。
私自身、さまざまな方からご相談を受ける中で、「小論文が原因でどうしても教員試験や昇進試験に受からない」という方を、何人も見聞きしました。
大学入試を良い機会として、「どうやって書けば良いのか」「評価基準は何なのか」をしっかり頭に入れておきたいです。どのような試験であっても、根本的に、求められていることは同じだからです。
『落とされない小論文』では、小論文試験に一発合格する必要最低限の情報を、凝縮して伝えています。
ぜひ、直前対策に、そして基礎力の養成に、本書を使い倒してください。