金銭・物品など物理的なものをもらうだけでなく、「ほめる」「好意を持つ」などのプラスの感情に対しても、それをお返ししたくなります。

 キビ団子をもらった犬は、桃太郎のために何かをしてあげないといけない、親切をお返ししないといけない衝動にかられたわけです。

 また、この「返報性の法則」は、「好意」だけでなく、「悪意」に関しても、成立します。つまり、あなたが人に悪意を持ったり、人を嫌ったりすれば、相手もあなたに対して悪意を返してきます。

 心のなかで、「この人、嫌い!」と思いながらその人と接していると、それが非言語的に(言葉以外の要素で)相手に伝わってしまうのです。

 相手が嫌いでも、黙っていればわからないだろう。表面上はにこやかに接していれば大丈夫だろう。残念ながらそんなにうまくはいきません。たとえ黙っていても、あなたが嫌う相手は、あなたに「嫌い」を返してくるのです。

「好意の返報性」と「悪意の返報性」がわかったら、相手に対して「好き」で接するべきか、「嫌い」で接するべきかは歴然とします。

「嫌い」の感情を抱いて人と接しても、百害あって一利なし、なのです。

「好意の返報性」で、
泥沼の人間関係もリセット

 以前、私はある病院で認知症専門外来をやっていました。

 この外来は、通称「もの忘れ外来」と呼ばれていて、「最近、もの忘れが進んできた」という方が来られるほか、認知症患者の介護をしている家族も相談に訪れます。

 介護に抵抗したり、興奮したりする認知症の患者さんの介護は、想像を絶するほど苦しいものです。介護が今後何年続くかわからないという不安もあります。

 あるとき、認知症のお舅さんを介護している女性から、相談を受けました。