思考をした分だけ、それ相応の成果や評価、もしくは休息といったリワードを人間は求める。これが不十分だと意欲が低下し、テストステロンの減少につながるということだ。

AIによって悩む男性は増える?
カギは行動のルーティン化

 逆にいえば、日々の仕事がルーティン化されている、思考の余地が少ない人の方が、テストステロンの減少は起きにくいといえる。だからこそ、自分の行動に対するちょっとした心がけが更年期障害の予防につながるようだ。

「この時間はこれをやる、この次はこれをやると、日々のパターンを決めることで思考する量が減ります。朝起きたら何をするか、何曜日は何を食べるかなど、仕事も私生活も“考える”ことを減らしてルーティン化する工夫をしてみてください」

 なお、ルーティンという観点で見たとき、「今後、ビジネスマンの更年期障害は増えてくるかもしれない」と堀江氏は考える。

「AIやRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション:ロボットによる業務自動化)が発達すると、ルーティンワークは機械が担うようになります。業務負担が減る点でメリットは多いのですが、一方で、人の仕事の多くはクリエイティブな思考に基づくものへと移るでしょう。つまり、テストステロンの減少が起きやすい仕事が増えるともいえます」

 となると、予防としてもう1つ大切になるのが、きちんとしたリワードを作ることだ。まず個人においては、「仕事以外の友人やコミュニティを持つことが大切です」と堀江氏。仕事でリワードが得られればそれに越したことはないが、その実現が難しければ仕事以外のつながりを持つ。そして、そこでのコミュニケーションや楽しさをリワードにしていくべきだという。

「ある方は、更年期障害のあと社交ダンスのサークルに入ってリカバリーしました。サークル自体の楽しさはもちろん、うまくなった分だけ周りの人が褒めてくれたといいます。それらがリワードになったのでしょう。もちろん、筋力の維持という意味でも良いですね」

 リワードは、友人や家族に褒めてもらうことでもいい。逆に、“健康のために”といって1人黙々と運動するのは、「更年期障害の観点では、あまり望ましくありません」という。