強引な勧誘は無効
誰もが解約できる権利がある

「一般的に、ジムとの契約においては、クーリングオフ(一定期間内なら契約解除できるという法制度)が適用されない場合がほとんどです。というのも、クーリングオフは、たとえばキャッチセールスや訪問販売、電話勧誘、通販など、特定の販売方法を規律する特定商品取引法が適用される場合に利用できる制度です。一方、ジムとの契約は、こういった特定の販売方法で契約を結ぶことがあまりないため、結果的にクーリングオフ制度を利用できるケースはあまりありません」(澁谷氏、以下同)

 クーリングオフは使えず、途中解約を申し出れば認められないか、もしくは違約金を請求される。まさに八方ふさがりの状況だ。しかし澁谷氏によれば、クーリングオフ以外にも法的な戦い方があるという。それは、(1)契約自体を取り消す方法(2)契約の成立自体は認めつつも契約を解除する方法(3)契約解除に伴う違約金の支払いを免れる方法――である。

 まずは、(1)契約自体を取り消す方法を紹介しよう。

「ジムは通常“事業者”にあたるため、消費者に誤った情報を与え、または正確な情報を提供せずに誤認状態で契約させた場合や、消費者の自主的な判断を妨げる勧誘によって困惑させて契約させた場合は、消費者契約法4条に基づき、契約自体を取り消すことができます。たとえば、消費者がジムを見学・体験後に『今日は契約しません。少し考えさせてください』と言ったのに、担当者がなかなか帰らせてくれない場合や、ジム側が『3ヵ月以内に退会した場合は、違約金が発生する』という説明などをあえてしていなかった場合、誰でも必ず痩せると説明して契約させた場合等に適用されます」

 次に、(2)契約の成立は認めつつも契約を解除する方法だ。

「そもそも民法の大原則として、人は誰と契約を結ぼうが、あるいは契約を解除しようが自由なのです。しかし悪徳ジムの契約には、一定期間中に一定の条件を満たさないと契約を解除できないと規定されていることがあります。これに対しては、消費者契約法10条に基づき、消費者の契約解除権を制限する規定が無効であるとして戦う方法があります。これは一般的な契約と比べて、消費者の権利を制限したり、義務を重たくしたりするような規定が設けられており、それが信義誠実の原則に反して消費者の利益を一方的に害するようなものである場合は、無効にできるのです。消費者の契約解除権を制限する規定が無効となる結果、原則どおり消費者はその契約を自由に解除することができます」