企業は景気回復で需要が増えても、「どうせ遠からず、再び景気が悪化するだろう」と考えるし、失業者は仕事にありついても、「どうせ遠からず、再び失業するだろう」と思うし、サラリーマンの場合はリストラの恐怖から解放されても、「どうせ遠からず、再びリストラの嵐が吹き荒れるだろう」と思うわけだ。

 企業のデフレマインドは、日銀短観から推測できる。利益などの客観的な指標が極めて良好であるにもかかわらず、業況判断DIはバブル期に遠く及んでいない。

 消費者のデフレマインドは、消費者態度指数から推測できる。消費者態度指数は、今後の暮らし向き、収入の増え方、雇用環境等の指標を合成したものだが、直近の数値は43.7で、バブル期はもちろんのことリーマンショック前の水準も大幅に下回っているのだ。

給料が上がらないことに加え
「老後不安」も原因

 家計の景況感がさえないことも、一因はデフレマインドだろうが、こちらは他にも原因が多数ありそうだ。

 その1つは、正社員の給料が上がらないことであろう。「春闘での賃上げ、大企業は期待薄でも中小企業には薄日の理由」でも書いたように、正社員の給料はようやく薄日が差した程度だ。バブル崩壊後の「グローバルスタンダード」の流行によって、企業が「従業員の共同体」から「企業の金儲けの道具」に変身してしまった結果だ。

 雇用者数は増えているが、「本来は定年後に引退するはずだったサラリーマンが定年後も仕事にありつけた」といった場合には、景気がいいから仕事が見つかったにもかかわらず、本人としては「景気がいい」と感じるよりも「収入が減った」と感じ、景況感がさえなくなってしまう。「景気が悪かったら自分は仕事にありつけなかったかもしれない」と気づくには、かなりの想像力を必要とするからだ。

 もう1つ重要なのは、老後不安だろう。

 財政赤字が膨らんで、政府の財政が将来は破綻するかもしれないと考える人が増えている。加えて、少子高齢化で年金財政が将来は破綻すると考える人もだ。もしかすると、「人生100年時代」という言葉を聞いて、「100歳まで生きたら老後の蓄えが底を突いてしまう」と不安に思っている人も多いかもしれない。