日の丸を背負って感じる3つのこと

 再び日の丸を背負う戦いに身を投じて、あらためて感じたことが3つある。まずは権田の中における日本代表チームの立ち位置だ。

「上手い人たちの中でサッカーをするのは、シンプルに楽しいですよ。海外組にとってはそれぞれの所属チームのレベルの方が高いかもしれないですけど、国内組にとっては間違いなく代表のレベルの方が高い。サガン鳥栖でちょっといいパフォーマンスをしたとしても、代表でもっといいパフォーマンスを演じなければいけない、と意欲的になれるので」

 もうひとつは、日本代表の歴史に名前を刻んできた守護神の顔ぶれだ。ワールドカップでゴールマウスを守ったのは川口、楢崎正剛、そして川島しかいない。コンフェデレーションズやアジアカップなどの国際大会でも、2000年以降ではこの3人だけがレギュラーを拝命してきた。

 くしくも昨シーズン限りで川口と楢崎が相次いで現役を引退した。3月で36歳になる川島も、森保ジャパンでは一度も招集されていない。32歳の東口順昭(ガンバ大阪)、27歳のシュミット・ダニエル(ベガルタ仙台)とともに招集され続けた意義に、権田は思いを馳せたことがある。

「日本代表のキーパーは今、変革期にあるというか、新しく選手が出てきている状況ですよね。そのタイミングで『日本のキーパーは、やっぱりあの3人じゃないとダメだ』と言われればそこまでだし、だからこそ選ばれている僕たちには『日本にはこういう選手もいる』というところを、どんどん見せていく責任がある。プレッシャーを感じるのではなく、僕は僕のよさ、東口選手は東口選手のよさ、ダン(シュミット)はダンのよさを出して、それぞれが日本のキーパー像をそれぞれの形で作っていけばいい。能活さんやナラさん(楢崎)みたいなことをしなきゃいけないとも思わないし、永嗣さんの真似ごとをしても上手くいかない。それぞれがベストを尽くせばいい」

 最後はサガンでプレーしている日々でも胸中に抱き続けた、海外挑戦へ対する熱き思いだ。ポルトガル1部のポルティモネンセSCへの移籍が報じられた昨年末。日本人のゴールキーパーが海外でプレーする価値について、権田は偽らざる思いを明かしている。

「FC東京時代から抱き続けていることですけど、僕としては海外で、それもレベルの高いチームでプレーしたいという気持ちがある。再び日本代表に選ばれるようになってからも、ウルグアイ代表戦やベネズエラ代表戦をベンチから見ていて、こういう相手とワールドカップで対戦した時に、相手のキーパーを上回るプレーにこだわっていかないと絶対に勝てない、とあらためて感じているので」

 カタール代表と対峙したアジアカップ決勝を直前に控えた先月29日に、ポルティモネンセSCへの移籍が正式に発表された。先発全員が海外組となった大一番はしかし、1-3の完敗に終わった。失点が勝敗に直結するポジションであるがゆえに、権田には少なからず批判が浴びせられた。

 だからこそ、30歳になる直前の今、再び海を渡る。レギュラーが約束されたサガンをあえて飛び出し、チャンスをくれたポルトガルの地でさらなる「成長」の二文字を追い求める。アジアカップで味わわされた悔しさを糧にして、川口から川島を介して託されたバトンを再び握り締めながら、日本人ゴールキーパーのステータスを高めていくための崇高なるチャレンジが幕を開ける。