飛散する花粉Photo:PIXTA

 今年の花粉症シーズンが始まった。

 昨年夏の猛暑の影響で、各関連機関の花粉飛散予報は軒並み上方修正。情報を総合すると、東北北部など一部地域を除き、飛散量は昨年の2~5倍。多くの地域で過去10年の平均飛散量を上回る可能性がある、との予測が出ている。

 飛散開始時期は平年並みで、九州・四国の2月上旬を皮切りに、早くも同月中旬には近畿、関東、北陸へと広がりそうだ。

 さて花粉シャワーから粘膜を守るには、マスク、ゴーグルの使用が望ましい。一昔前は「トンデモ予防法」扱いされてきたが、物理的に花粉を洗い流す鼻洗浄もお勧めだ。最近は専門医も積極的に推奨している。

 このほか、洗濯物、布団の部屋干しや、帰宅後は玄関先で上着を脱ぐなど「花粉を部屋に持ち込まない」工夫も地味に効果がある。できる限り室内の暴露リスクを減らしてアレルギー反応を鎮め、睡眠時間を確保しよう。

 中等~重症の症状――くしゃみ、鼻水、鼻づまりの治療には、抗アレルギー薬が使われる。

 数多い抗アレルギー薬のなかの変わり種は、昨年1月に承認されたエメダスチンフマル塩酸の経皮吸収型製剤(商品名:アレサガテープ)、つまり貼り薬だ。

 アレルギー性鼻炎の治療薬としては世界初の貼り薬(背中や上腕などに貼付)で、1日1回の貼付で24時間効き目が持続する。

 貼り薬は吸収が穏やかで、効き目を実感するまでに時間はかかるが、持続力は高く夜の鼻づまりが楽になりそうだ。貼るタイミングが食事に左右されない点もメリットだろう。

 副作用は、貼付部分が赤くなる、かゆみ、発疹など。このほか眠気が出るので、同じような副作用がある薬やアルコールとの併用は避けよう。また、運送業や公共交通機関の運転に従事している方は、使用に慎重になるべきだ。

 同テープは処方薬なので医師の診療が必須だが、同じ有効成分の飲み薬はすでに市販されている。

 一定期間を経て新しい投与経路の安全性が確認された後は、速やかに市販薬へスイッチしてほしい。

(取材・構成/医学ライター 井手ゆきえ)