「炎上パターン」に入った統計不正問題を一刻も早く決着させる法厚労省の毎月勤労統計に関する不正問題が拡大し、「炎上」のパターンに入ってしまった。これはまさに「消えた年金問題」を彷彿とさせる。Photo:PIXTA

厚労省の勤労統計不正問題は
「炎上パターン」に入り成長中

 厚労省の毎月勤労統計に関する不正問題がどんどん成長している。巷で言う「炎上」のパターンに入ったのではないかと筆者が確信したのは、長妻昭・立憲民主党代表代行が大西康之・前政策統括官(現・大臣官房付)の国会招致を要求したことに対して、拒否の姿勢を取ったからだ。

 根本匠・厚生労働大臣は、大西氏を前職から更迭して、問題の当事者を答弁に立たせない形にした。

 大西前政策統括官は、2018年に入って不正な数字を徐々に修正しようとした厚労省の組織的な不正操作の時期の責任者であり、この問題のキーマンの1人だ。政府・与党は、このキーマンを隠して不都合なことを言わせない形で、幕引きを図ろうとしているように見える。

 しかし、隠されると知りたくなるのが人の性である。

 しかも、毎月勤労統計に関わっていた人物は大西氏1人ではなく多数いるはずで、厚労省の職員なのだから逃げ隠れできない。不正は長期間行われていたので、作業に関わって実態を知る職員は少なくないはずだ。メディアは彼らに当たることで、多くの人が欲している情報を報じることができる。とても収まるものではないだろう。

 籠池夫妻を長期間拘留して世間への情報発信を遮断した、森友学園問題の際のような情報の隠蔽は困難だ。

 ましてこの問題では、雇用保険の過小給付を通じて、1人当たりで見れば多額ではないものの、損得の影響を直接受ける人が1000万人単位で存在する。国民から見て統計不正の実態は、隠し切るにはあまりにも興味深い。