旧態依然とした
研究環境のサポートも
ビッグデータの分析システムを研究開発しているユーザーローカルというベンチャー企業は、法人向けの事業のため、そもそも学生が存在を知らないという問題を抱えていた。この企業もLabBaseによって多くの2019年度新入社員の採用することに成功。CTOが直接スカウトしたことで、学生たちに思いが伝わり、最適な人材を獲得することができた。
「企業側も従来の採用方法ですと、履歴書では分からない部分が多く、困っていました。実際に会い、専門分野について詳しく聞いて、ようやく適した人材かどうかが分かる。これでは採用に多大な時間とコストがかかってしまいます。それをもっと効率的にできないかと考えたのです。LabBaseを導入している企業は、面接した学生の8割に内定を出したという実績もあるほど、通常より高い割合で採用ができています」
就職活動だけでなく、理系の学生を取り巻く課題は数多い。例えば研究資金。ここ数年、国立大学の運営費交付金の減少に伴い、科研費などの、いわゆる「競争資金」でまかなうケースが増えている。そのため、返済不要の奨学金を検索できるデータベースもLabBaseでは提供している。
「科研費は申請書を作成するのにかなり時間がかかりますし、応募しても半数程度しか審査を通過しません。資金も不足していますし、研究環境も旧態依然としている。日本のアカデミアは、まだまだ課題が多いのです」
実際に理系の学生や教授が研究活動に使える時間は、2~3割しかない。その他の時間は雑務に追われているのが現状だという。
「せっかくの頭脳がもったいないと思います。研究者にはポテンシャルを最大に発揮してもらいたい。そのため事務や記録作業を軽減するサービスも計画中です。また企業との連携、研究者同士が交流できる場も構想しています」
科学技術立国を再興するために始まったこの支援事業。今後の行方を大いに期待したい。
(吉田由紀子/5時から作家塾(R))