問題は、個人の資産運用にあって、高齢になった場合に低リスク運用に移行することが適切なのかという点だ。

 まず、お金(金融資産)は豊富にあって困る物ではないので、適切なリスクを取ってより大きなリターンの獲得を目指すことは、本人にとっても、家族や相続人にとっても「いいこと」だろう。

 自称「お金の専門家」の中には、高齢になったら「リスクを取る運用なんて止めてしまえばいいんじゃないの」とおっしゃる方が時々いるのだが、これは想像力が貧しいか薄情かのいずれかではないだろうか。資産は、本人から相続人その他に引き継がれるのだし、本人にとっても潤沢な資産の使い道は多々あろうから、「高齢者に投資は無意味だ」というのは暴論だ。

 一方、高齢者は運用で損失を被った場合に、働いて損を取り返すといったことがしづらい(=人的資本が小さい)。大きなリスクは取にくいというケースはあるだろう。

 ただ、人的資本は縮小しているかもしれないが、同時に将来の必要支出額も縮んでいるはずだし、今後に必要な費用についても、より若い頃よりもよく見通せるようになってもいるはずだ(子どもが生まれたり、新しい事業を始めたりすることは稀だろう)。潜在的な負債が小さい分、資産からこの負債を差し引いた額にあっては安心してリスクを取ることができる場合があるはずだ。一概にリスクを縮小せよと言うのは誤りだろう。

 また、利益が出ているリスク資産を換金する際には税金を支払うので、リスク資産を持ち続けている状態と比較すると、複利の効果が損なわれる点も損だ。高齢者本人と家族・相続人が資産をより有効に活かすという観点で、家族などと協力しつつ、若い頃と変わらない資産運用を継続することが望ましい。

 効率的な資産運用に関して、3つポイントを述べておこう。

 (1)リスクを取る資産は、内外の株式に投資するインデックス・ファンドで運用するといい。世界的な投資家として高名なウォーレン・バフェット氏(87歳)は、S&P500に連動するインデックス・ファンドで妻に資産を渡したいと述べている。内外の株式の比率は4対6をお勧めしているが、両者の連動性が高まっていることから考えると、世界の株式に投資するファンド1本に投資しても大差はないように思える。