ただし、認可団体で行なわれていれば保育の質が良く、民間企業が行おうとする保育は全て質が悪いという、ある種の「思い込み」で議論がストップするのは、危険だと感じるのである。「保育の質」とは、子どもを持つ親にとって非常に魔力を持つ言葉だからこそ、慎重にならねばならない。

保育所不足こそ質の低下を招く?
本来議論すべきはスピードと質の両立

 新システムの審議通過を支持する1人が、特定非営利活動法人フローレンスの代表・駒崎弘樹氏だ。駒崎氏は、「供給量が上がれば、今より保育の質は上がる」と訴え、新システムのうち、「指定制の導入」と「情報開示の義務化」、そして「小規模保育サービス」を評価するという。

 まず、「指定制の導入」とは、要綱では「事業者を指定し、指定された事業者がサービスを提供する仕組みを導入(指定制の導入)する」とある。現行の制度では、認可を受けた幼稚園または保育所についてのみ財政措置を行なっていたが、新たな制度では、行政庁の認可を受けていない保育事業であっても、財政措置の対象となる。

 自治体の認可を受けずとも、財政措置が受けられるこの制度のメリットを、駒崎氏は「保育を行ないたい事業者が、スピーディーに開園し、結果、待機児童の解消につながること」と話す。潜在的には85万人とも言われる膨大な待機児童を減らすためには、迅速な動きが求められている。

 これについては、「スピードよりも安全な保育の方が必要」という反論があるだろう。もちろん、安全な保育は重要であるが、最も望ましいのはスピードと安全を両立することだ。

「現在はそもそも保育園の数が少なく、一部の親は(劣悪な環境の)ブラック保育園を選ばざるを得ず、たとえブラックであることに気付いても他に行くところがない。供給量を増やせば、質の悪い保育園は選ばれなくなる」(駒崎氏)