面接の限られた機会でも
企業を見抜くことは可能

 5つの観点それぞれを、どのように見抜けばいいか、解説しよう。

(1)自由な発想を尊重しているか
 
 会社や組織の枠組みにとらわれない自由な発想を尊重する雰囲気があるかどうかは、社員の成長性を左右する。ビジネスの場面で実はよく聞く、「お前の意見は聞いていない。この通りやれ」などというフレーズは、成長を阻害するのだ。

 自由な発想を尊重しているかどうかは、ささいな場面にも表れる。例えば、面談や会議の際の席は指定されておらず、自由に選べるかどうか、ということもその一つだ。指名された人のみが発言できるか、発言したい人が発言できるかということでも見当が付く。質問を最後に受け付けるという会社もあるが、随時受け付ける会社の方が自由度が高い。

 一つの事実だけでいきなり、自由度の高低を決めつけるのは拙速だが、いくつかの事実を積み重ねると、かなり確度の高い傾向を見て取れる。つまり、何回かの面接でかなりの程度、見極めることができるものなのだ。

(2)能動性を発揮する機会があるか

 やらされることばかりで受動的な状態が続くことよりも、やりたいことをやれる裁量の余地がある企業の方が、成長性は高まる。

 具体的には、会議や研修に参加して立派な名札が用意されていたり、全員にスターバックスのコーヒーが提供されている状態よりも、自分で名札を書いたり、飲みたい飲み物を選べる環境の方が、能動性を発揮する機会はあると言える。

 また、強制参加の研修ばかりの企業より、希望者先着順任意参加型の研修がある企業の方が、能動性は高まり成長性は高まる。

(3)指示・命令ではなく質問を多用しているか

 面談でも会議でも、段取りについての説明の場面でも、指示や命令をされることが多ければ多いほど、また、質問されることが少なければ少ないほど、社員の成長を妨げる度合いが大きいと言える。

 質問されて答える、自ら考えるということは、成長を促すための基本スキルだ。訪問時に、こうした機会がどの程度あるかを見極めることをお勧めしたい。