「風の舞」を辞めた職員は、実は同じグループの訪問介護事業所「風の舞介護センター」の所属だった。施設とは違う別の事業所から介護サービスを受けるのが、介護付き有料老人ホームと異なるところだ。

 だが、介護保険の訪問介護サービスのスタッフが、施設内に常駐して保険外の日常生活の世話もすることが多い。保険の内外の区別がつき難く、利用者やその家族には施設職員と受け取られかねない。通所介護にしても、施設内や隣接に併設されており、一体運営のように見える。

「住宅型」の方が「介護付き」より
中重度の入居者が多い理由

 入居者は高齢で、かつ認知症の人も多く、ほとんど決定権は家族にある。家族の多くは、個々のサービスは「事業者にお任せします」となり、「毎月の費用はどのくらい?」と総費用しか関心がなく、「介護付き」と区別ができているかあやしい。では、そのようなあいまいな住宅型がなぜ増えてきたのか。

 その理由の第一は、「介護付き」と「住宅型」の利用者の状態から手掛かりが得られそうだ。「住宅型の入居者の平均要介護は2.7で、介護付きの2.4より高い」という衝撃的な結果が判明した。野村総合研究所が2017年に実施した調査によるものだ。

 また、同調査から要介護3、4、5の中重度の入居者に占める割合を見ると、「介護付き」が各14.7%、15.2%、11.2%で合計41.1%なのに対し、「住宅型」は各18.5%、17.6%、12.9%で合計49.0%となる(図5)。元気老人が多いとみられていた「住宅型」の方が、中重度者の割合で「介護付き」を上回っている逆転の事実が明らかになったわけだ。これは何を意味するのか。

 答えは明白だ。重度になっても「住宅型」で十分暮らしていけるのである。それがはっきり分かるのは、最重度の要介護5の入居者割合が「住宅型」の方が多いことだ。両者にケアのレベルの差はないといえるだろう。それだけ、「住宅型」の事業者が重度になった入居者への介護に熱心に関わっているといえるかもしれない。