だが、「たまゆら」火災前までは、各自治体はガイドラインの「有料老人ホーム設置運営指導指針」により廊下幅や専門職員の配置、個室要件、部屋面積など細かい基準を定め、それを満たさなければ届けを受理せず、「類似施設」と命名し「継子」扱いだった。火災後に厚労省は「まずは届けを出させ、改装時に基準を満たすように指導せよ」と自治体に伝える。

 これにより、普通の民家を活用していた小さな集合住宅が次々自治体に登録させられた。「宅老所」として「普段の暮らし」をうたう良質な事業者もやむなく移行していった。

 宅老所は、志の高い看護師や薬剤師、あるいは介護職などが病院や大規模特養、老人保健施設のケアに疑問を抱いて独立するケースが多く、零細な事業者が大半。利用者も低所得者が多く、制度の隙間からこぼれた弱者救済という色彩が濃い。

 次に、「特定施設」の指定を受けたいが、受けられない有料老人ホームの存在も「住宅型」の増加要因となっている。保険者の区市町村は介護保険料を算出するため、3年ごとに全介護サービスの総量を定め、介護保険事業計画を策定する。

 特定施設の新規入居者数も上限が決まる。事業者からの申請が計画数以上になると指定を止めてしまうため、はじかれた特定施設待機組が「住宅型」に回ることになる。

 特定施設の基準に合わせてハードの建物を造り、ソフトの介護サービスも同様の運営をしがちだ。介護サービスを外部でなく、形式的に別事業所を作って送り込むことになる。施設をチェーン展開する大手事業者にこのタイプが多い。従って、「介護付き」と「住宅型」の両方を数十ヵ所持っている。

 こうしたさまざまの内部要因と外部要因が重なり「住宅型」が全国的に増えている。「介護付き」の1施設当たりの定員は61人だが、「住宅型」は29人と少ない。

 合計定員数が全国5位で9995人の宮崎県では平均定員が24人、9位で合計定員数8201人の熊本県は同23人、また10位で7658人の沖縄県は同20人といずれも全国平均より少ない。施設が小さければ小さいほど、普通の住宅に近づきケアは行き届く。採算が取れる中で、小規模な施設が増えていくことは歓迎すべきことだろう。

(福祉ジャーナリスト 浅川澄一)