日本独自の
「イレズミ=ヤクザ」の図式

 時代と共に政府による規制が厳しくなり、徐々にイレズミ=マイノリティという図式が形成されていったわけだが、日本におけるイレズミの“悪イメージ”を決定づけたのは、任侠・ヤクザ映画のブームだったという。

「1960年代以降のヤクザ映画の影響で、イレズミと犯罪を結びつける考え方が加速したのではないでしょうか。60年代から70年代にかけて量産されたヤクザ映画や任侠映画では、登場人物の多くが刺青を施していたことが、イレズミ=ヤクザ、アウトローのイメージを大衆に植え付けたと考えられます」

 確かに、ひと昔前の任侠映画にはイレズミを強調する作品が多く、その影響もあるのかハリウッド映画でも必ずといっていいほど「YAKUZA」キャラには立派なイレズミが入っている。エンターテインメントの文脈で、日本人のイレズミ=悪というネガティブイメージが浸透してしまったのは、日本ならではの図式かもしれない。

山本教授の著書『イレズミと日本人』
3月30日13:00~16:45​、東京・西新宿 にて、国際シンポジウム「イレズミ・タトゥーと多文化共生――『温泉タトゥー問題』への取り組みを知る」が開催される。詳細は公式サイトを確認ください。

 もっとも、冒頭の国内アンケートにおいて、「イレズミを入れた人から実際に被害(暴行・強要・脅迫など)を受けたことがありますか」という問いに「ある」と答えた人は5%にも満たなかったという。あくまで「イレズミ=犯罪」はイメージが先行しているようだ。

 山本氏は世界的なタトゥー流行を受けて、今後はタトゥー文化に理解を示す努力も必要なのではないかと語る。

「日本では不良文化として捉えられているタトゥーですが、最近はおしゃれのためや、何らかの記念にワンポイントで彫る人がほとんど。ラグビーのW杯、オリンピック、万博を控え、タトゥーのある訪日外国人の温泉やプール、ジムなどでの受け入れはどうするのか?タトゥーやイレズミに批判的な目ばかり向けているのは、経済的にも損失でしかないと思います」

 最近はタトゥーOKの温浴施設や海水浴場などをまとめたサイトも誕生している。日本独自の任侠映画によって根付いたイレズミと犯罪のイメージは、今後どのような変遷をとげるのだろうか。