経営者としては、周囲から「(ピューロランドは)どうなっているんだ」「手放せ」と言われる中で、「可能性に満ちている」という私の言葉が嬉しかったのかもしれません。

「(可能性に満ちているとは)本当か?」と聞かれ、「本当です」と返すと、「じゃあもう1回、外部の視点でよく見てきて」と言われ、それから2度訪れました。そして今度は、サービスやレストラン、プロモーション、照明や音響、トイレの壁紙から何から何まで、改善すべき点を予算度外視で細かくリポートして社長に提出しました。

 さまざまな課題点は見えましたが、すべての問題の根本にあるのは、コンセプトのなさだと気づきました。もしくは、ピューロランドは何のために存在しているのか、誰に何を味わってもらいたいのかが、全員で共有されていない。それぞれのスタッフは頑張っているに違いありませんから、すべての課題のボトルネックはそこにあったのです。

平日の来場者数を4倍以上にした
「お母さん的リーダーシップ」

サンリオピューロランド小巻亜矢館長
改革は「社員との一対一の面談」から始まったという
Photo by T.U.

――小巻さんがサンリオピューロランド館長になられてから入場者数もV字回復していますが、何から改革を始めましたか?

 よく「私が来たからピューロランドがV字回復した」と言っていただきますが、決してそうではありません。私はテーマパーク初心者でしたが、社員はそれぞれのジャンルのプロ。以前から社員全員が課題を感じていて、そんな時に私がピューロランドに行くことになり、社員が元々持っていた力を発揮しただけなのです。

 まず私が行ったのは、「社員の話を一対一で聞くこと」でした。なぜ苦しい時も辞めなかったのか、一番嬉しかったこと、苦しかったことは何か、お客様に見てほしいのはどこか、社員に話を聞くと、すごく熱い思いが返ってきました。みんなピューロランドを良くしたい、好きな気持ちもあるし、何をしたらいいのかのアイデアも持っていたのです。

 ただ、予算削減でお金のかかることは言い出しにくかったでしょうし、横のつながりが薄くなってお互いに話しにくい風土になっていたのは確か。そこで、意識改革のために、全社員で話をしてコンセプトを共有する「対話フェス」を行い、自分たちが目指すことを語り合い、風通しのよい会社にしていきました。