しかし当初は、毎日の午前中の時間をそのために割ける社員がいなかったですし、スキルも十分ではなかったため、1年半は外部の方にやっていただきました。社員からは当然、アレルギーもありました。外部の人になぜそんなこと言われなきゃいけないんだ、と。そこで「期間限定の実験だから」と説得して始めました。

 何か始めるときに「実験」「期間限定」というのはコツなんです。そうすると、それじゃやってみようかとなりやすい。結果として、本当は2年の予定でしたが、成長が早かったので1年半で講師を社員にバトンタッチできました。

 この朝礼を始めてからは、スタッフのサービスがメキメキと向上し、お褒めの言葉が増え、社員の意識も前向きになりました。朝礼を運営する部署以外からも「朝礼でこれを取り上げたほうがいいんじゃないか」という声が上がるなど、組織が成長している手ごたえがあります。また、「ピューロランドをもっと良くしたい」と照れることなく口に出せる人がすごく増えました。

 そして、スタッフが部署を超えて廊下であいさつしたり、楽しんで働いてくれたりするようになったのも大きな成果です。

「バックヤードこそピューロランドに」
アルバイトスタッフは大切なお客様

サンリオピューロランド小巻亜矢館長
数々の改革でスタッフ同士の関係性もとても良くなってきている Photo by T.U.

――館内だけでなく、バックヤードの廊下の壁紙にもキャラクターを配していて、とても楽しそうな印象を受けました。

「バックヤードこそ、テーマパークに」。以前、こう話してくれたすてきな部長がいまして、私も「バックヤードこそピューロランドにしたい」と思っていました。そこで、廊下は壁紙をかわいくしたり、スタッフ用のトイレはすてきな照明をつけてキャラクターを配したり、ドアもピンクにしたりしています。

 こうした変化で、社員もアルバイトスタッフも「ピューロランドもここにお金使えるようになったんだ。良くなるんじゃないか」「会社は自分たちのことを考えてくれている」と思うようになってくれたと考えています。

 以前の女性用トイレは座ると冷たいような、すさんだものでした。経費をかけられない時はお客様が優先ですが、同じくらいアルバイトスタッフもとても大切なお客様です。彼ら・彼女たちが退職した後も「ピューロランドはひどかった」と思われるのではなく、「大好きだった」と思ってもらえるのでは全然違います。

 その他に、コスチュームをかわいくしたりするなどの取り組みで良いスパイラルに入り、以前は苦戦していたアルバイトスタッフの採用も改善してきました。もちろん今は動員数の増加で必要なスタッフの人数も増えて、まだ十分とはいえない部分もあります。しかし、さまざまな施策の相乗効果が今、表れてきていると思います。