18年には高さ450メートルの東京スカイツリーの展望台に小型化した光格子時計を設置し、地上に比べてどれだけ時間が速く進むのかという検証も始めた。

 光格子時計は時計の概念を変えるかもしれない。時間を計り、確認し合うための道具から、時空のゆがみを利用した全く新しい道具に生まれ変わり得る。

 例えば、火山活動や地震による地殻変動などによる標高差のリアルタイムの変化、質量分布の変化を測定することで、見えない地球の内部で何が起こっているのかつかむセンサーになるかもしれない。地下のマグマの位置だけでなく、地下資源を探ることも可能だろう。

 小型の光格子時計がネットワーク化されることで、自動運転などのインフラ環境が飛躍的に高まる未来も想像できる。日本電信電話、島津製作所などと共同で時空間情報の共通プラットフォームを構築する未来社会事業プロジェクトも動きだした。

 全く新しい時空のインフラが登場する日は、そう遠くはない。(敬称略)

(「週刊ダイヤモンド」編集部 小栗正嗣)

【開発メモ】ストロンチウム光格子時計
 下の写真は、18桁の精度で1秒を刻むストロンチウム光格子時計の本体。光格子という光の波長よりも小さな籠状の入れ物を多数作り出し、そこに100万個の原子を閉じ込めて同時に観測する。例えば、東京と九州の時計をつなげて実験すると、潮汐の効果によって6時間に14cm、東京と九州が相対的に上下するのが見えるはずである。

ストロンチウム光格子時計