Q8:マイホームを購入しました。申告は必要ですか?

 マイホームを購入しただけでは申告の義務はありませんが、住宅ローン控除を受けるためには、サラリーマンやOLなど給与所得者は、初年度は申告が必要です(翌年からは年末調整で控除が受けられます)。一方、個人事業主(自営業者やフリーランスの人)は、2年目以降も自分で申告する必要があります。

 住宅ローン控除は、居住した年によって控除額の上限が異なりますが、平成30年に居住した場合、一4,000万円(認定住宅は5,000万円)までのローン残高×1%=最高40万円の控除を10年間にわたって受けられます。医療費控除などの「所得控除」とは違って、納めたの所得税から直接差し引ける「税額控除」のため、節税効果は絶大です。さらに、住宅ローン控除額が納めた所得税額を上回る場合、翌年分の住民税から控除されます。

Q9:高額の医療費がかかったのですが、高額療養費で自己負担限度額を超える分は戻ってきました。それでも、申告すればお金は戻ってきますか?

 たとえば、総所得金額等が200万円以上の人(給与年収311万6,000円以上の人)の場合、正味の医療費が10万円超であれば、医療費控除を受けられます。医療費控除の額は「1年間に支払った医療費-保険金などの補てん金-10万円(※)」(※総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等×5%)です。

 高額療養費として戻ってきた分は、この数式の「保険金などの補てん金」に当たります。つまり、総所得金額等が200万円以上の人の場合、「1年間に支払った医療費-高額療養費で戻ってきた分など保険金などの補てん金」が10万円を超えていれば、税金が戻ってきます。

Q10:株やFXで損をしました。利益がないので、申告は不要ですよね?

 義務はありませんが、申告しておくと、将来、トクする可能性があります。株やFXの売買で損失が出た人は、原則的に確定申告書にそれぞれの「計算明細書」等を添付して繰越控除を申告すれば、翌年以降3年間の繰り越しが可能です。そして、儲けが出た年に相殺して、利益を減らす=節税することができます。

 ただし、ビットコインなど仮想通貨の売買による損失は繰り越しできません。注意してください。

Q11:空き家を売却しました。申告すると節税になりますか?

 節税を云々する前に、空き家を売って利益(譲渡所得)を得たら、確定申告をして税金を支払わなければなりません。基本的には「譲渡価額-(取得費+譲渡費用)」で譲渡益を求め、この譲渡益に対して所得税が発生します。

 ただし、売却した空き家が“相続した”“一戸建て”の空き家(建物・土地等)で一定の要件を満たしている場合に限り、譲渡所得の金額から3,000万円の特別控除の特例を受けられます。譲渡所得が3,000万円までは無税になるということです。

 主な要件は「相続日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで、かつ平成28年4月1日から平成31年12月31日までに売却」「昭和56年(1981年)5月31日以前に建築」「被相続人(亡くなった人)が一人で暮らしていた」「相続開始から売却されるまで、誰も住んだり、使用したりしていない」などです。

 ただし、確定申告を行わなければ、3,000万円の特別控除の特例は適用されません。譲渡所得が3,000万円以下だったとしてもです。申告にあたっては、確定申告書のほかに「譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)【土地・建物用】」などが必要になります。詳しくは専門書等でご確認ください。