横浜ゴムで使われているタイヤ単体特性試験機の1つ
横浜ゴムで使われているタイヤ単体特性試験機の1つ「コーナリング試験機」。タイヤのグリップ力を測定している

かつて生産性ナンバーワンだった日本の製造業を中心とする企業が、なぜ世界の後塵を拝するようになってしまったのか。DOL特集『ルポ 闘う職場~働き方改革では生産性は上がらない』では、日本企業を覆う「仕事力損壊」の実態を浮き彫りにしつつ、そこからの脱却を目指す企業人たちの悪戦苦闘のドラマをリポートしていく。第9回は、前回に引き続き横浜ゴムの現場を取り上げる。部下が大きなミスを犯してチームが窮地に陥ったとき、上司はどう対応して危機を脱したのか。その姿を追った。(ライター 根本直樹)

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本番直前なのに
何もしてなかった部下

 樋口禎(45歳)は現在、横浜ゴム直需技術部内の「直需技術1グループ」で5人の部下を率いるリーダー(課長)を務めている。自動車メーカー向けの新車用タイヤを開発するにあたり、顧客と自社開発陣の間に立ってプロジェクトを調整・牽引していく、いわば“司令塔”のような役割が樋口の部署に課せられたミッションだ。

 顧客都合と自社都合の板挟みになるのは日常茶飯事。多大なストレスのかかる、とても困難な役回りだということが容易に想像できるだろう。