OECDが危惧するのは、投資適格の社債の中で最も信用度の低いトリプルB格の発行残高に占める割合が54%に達し、2000年の20%超から急上昇していること。「ジャンク(投機的)」とも称される投資不適格すれすれの“予備軍”がひしめいているのだ。

 野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは景気悪化や金利上昇時などに「1段階の格下げでジャンク債となるトリプルB格社債には危うさが潜む」と指摘。特に近年はエネルギー関連企業の社債が増えているとして、「原油価格下落などを引き金に、トリプルB格市場が一気に崩れることもあり得る」と警戒する。

さらなる増加の公算も

 足元では、そんな社債市場が一段と拡大しかねない市場環境が到来した。FRB(米連邦準備制度理事会)は15年12月の利上げ決定を皮切りに金融緩和からの出口戦略を進めてきたが、今年1月末にパウエル議長が方針を急転換。しばらく利上げを見送る考えを示したのだ。低金利環境が長引けば、企業が社債を発行しやすい環境が続くことになる。

 だが、これは社債市場の潜在的なリスクを高める危険と隣り合わせだ。同報告書によれば、今でさえ仮に08年の金融危機と同程度のショックが起こると、5000億ドル相当の社債が1年以内にジャンク債へ転じる。また不況下では企業の負債の返済が難しくなり、社債の債務不履行の増加で「不景気の影響がさらに増幅される」(OECD)懸念すらある。

 米国では投資適格から投資不適格へと格下げされた企業のことを、キリスト教で天使だったが神に反逆して悪魔となった存在を指す「フォーリンエンジェル(堕天使)」と呼ぶ。このままいけば景気が悪化した際、社債市場では堕天使が一気に姿を現し、世界経済を悪夢へ陥れるシナリオも現実味を帯びかねない。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 竹田幸平)