最近の若手を見ていると、遠慮なく「できるアピール」する者が目立つ。上司は彼らの発言を真に受けて仕事を任せてみると痛い目に遭ったり、あるいは仕事のリスクを回避するため彼らの主張を聞き入れないものの、拗ねられても困るため、その扱いに悩んだりしているといった話を多くの職場で耳にする。皆さんの職場でもそんなことはないだろうか。(心理学博士、MP人間科学研究所代表 榎本博明)
「できるアピール」する人に
仕事を任せても大丈夫なのか?
最近の若者は、学校で自己アピールや自己主張の教育を受けてきたため、職場で「できるアピール」する者が目立つのもいうまでもない。ところが実際には、仕事ができないのに「できるアピール」をする者がいるから厄介なのだ。
どんな職種でも仕事内容には奥深いものがあり、若手は経験が浅いためまだよくわからないということも多々あるだろう。それにもかかわらず、まだたいした成果を出してもいないのに、例えばプロジェクトメンバーの募集に興味があると、遠慮なく立候補する――皆さんの職場でそんな若手はいないだろうか?
確かに、遠慮しながらウジウジする人よりも、積極的な人を評価したくなるのは当然であるが、彼らの姿勢を見ると上司は根負けして「そこまで言うなら、自信があるに違いない」と思い、つい任せてしまう。実はそういう人に限って仕事ができないことが多い。その結果、失敗した。そんな経験があるのではないか。そこで、「できるアピール」する人の思考回路がどうなっているのか理解できないため、彼らをどう扱えばいいのか悩む管理職も少なくない。
機械系メーカーの営業部長のAさんは、当初「できるアピール」する若手B君をとても頼もしく思っていた。
配属されてまもない頃、「この仕事を任せるのはまだ早いかな」と思いつつ、打診してみると、B君は「大丈夫です、任せてください」と即答する。