今日もSNSには「ああ、忙しい!」「先月から休みなしで働きづめ!」といった言葉が飛びかっている。実際に忙しい人もいるかもしれないが、「たんに忙しいアピールが好きなのかな?」と思えるような人たちもいるのではないだろうか。
ハーバード、スタンフォード、MITなどの膨大な研究成果から、生産性を上げる効率のいい方法をさまざまに提示して話題となっているベストセラー『SINGLE TASK 一点集中術』では、そんな「忙しい」を連呼する人たちの実態を鋭く指摘している。彼らの生産性は本当のところはどうなのだろう?その悩ましい姿とそこから脱する方法を紹介する。
「忙しそうな人」の生産性って本当のところは…?
自分を「多忙」にみせる伝染病が蔓延している。そのさまは、まるで芝生に雑草がはびこるようだ。とはいえ、どれほどあわただしく動きまわったところで、相応の見返りが得られるとはかぎらない。忙しくすごしている人が、能率よく働いているとはかぎらないからだ。
リーダーシフト・コンサルティング所長のレスリー・ウィリアムズは鋭い所見を述べている。「私たちの文化は、生産性とはなにかという定義を見失っています。一度にどれだけ多くのタスクをこなせるかで『能率のよさ』が測れるかのように誤解しています」
あくせく働いているのに、それに見あうだけの具体的な成果をあげられない人は多い。そもそも、一定の時間内でそれほど多くの作業をこなせるはずがないのに、ついあれこれ手をだしてしまっているのだ。その結果、つねに注意散漫な状態で、膨大な要求に答えられずに不満を抱えて生活している。