工場で働く人々近年、障害者雇用の世界は“売り手市場”で、相対的に軽度の障害者は引く手あまたとなっている。昨年夏に発覚した「障害者雇用の水増し問題」で、中央省庁などの公的機関が大規模採用に乗り出したことにより、障害者雇用の“大移動”が起こる可能性を孕んでいる(写真と本文は関係ありません) Photo by Hitoshi Iketomi

 昨年から今年にかけて、世間を騒がせてきた「障害者雇用の水増し問題」は、収束に向かうどころか、さらに混迷の度を深めている。

 政府は3月19日、「障害者雇用促進法」の改正案を閣議決定し、国会に提出した。公的機関には、お粗末だったチェック機能を強化させる。また、中央省庁が法定雇用率を下回った場合は、民間企業に義務付けている納付金(事実上の罰金)と同様に、不足が1人に付き年60万円のペナルティを科す。企業には、これまで認めなかった週10~20時間しか働けない精神障害者(発達障害を含む)向けの給付金の新設にも踏み切る。