最高裁が大きく路線変更
「親族重視」「交代柔軟に」

 浮き彫りになった問題は2つ。家族後見人よりも弁護士という専門職後見人への誘導と、後見人の交代が難しいことである。いずれも現状の制度内では「当たり前のこと」とみなされている。

 ところが、3月18日に突如、最高裁判所が2つとも見直すと表明した。大きな路線変更に踏み切った。厚労省の審議会「成年後見制度利用促進専門家会議」(委員20人。委員長・大森彌東京大学名誉教授)で委員の最高裁家庭局長が、後見人には「身近な親族を選任することが望ましい」とし、「後見人選任後も、柔軟に後見人の交代・追加選任を行う」との考え方を示した。

成年後見人制度への最高裁の見解第2回成年後見制度利用促進専門家会議での配布資料「資料3 適切な後見人の選任のための検討状況等について」参照:厚生労働省 拡大画像表示

 最高裁が、後見人の選任と交代に関してこれほど具体的に姿勢を表明したのは初めてのこと。画期的な決断といえるだろう。その内容は、この1月に全国の家裁に伝えたという。

なぜ専門職の後見人が増えたか
親族後見人の「不正」が背景に

 最高裁にこの決断をさせた理由を検討してみよう。まず、後見人にはどのような立場の人がふさわしいのか。成年後見制度そのものの成り立ちを振り返ってみると、その答えが得られそうだ。

 同制度は2000年4月1日から始まった。介護保険制度と同じ日である。介護保険は、介護サービスの提供法をがらりと変えた。公務員が決める税による「措置」制度から、利用者と事業者間の「契約」制度となった。

 契約内容を双方が了解して初めて、訪問介護やデイサービスなどの在宅サービスを利用でき、施設に入所できる。したがって、契約を交わす利用者が、認知症などのためにその契約内容の理解に支障があると、契約が成り立たない。そこで利用者の契約代行者として登場してきたのが成年後見人である。

 介護保険制度と並んで成年後見制度が「車の両輪」といわれるのはこのためだ。

 それまで要介護者に寄り添い、介護の担い手になってきたのは同居家族だった。介護保険は「介護の社会化」をうたい、家族介護からの解放を目指した。だが、介護保険スタート時には、まだ家族一体での介護という認識が強く、後見人にも家族を含め親族が続々名乗りを上げた。