エレベーターの停止階を減らして
平均の待ち時間が10秒短縮

 まず、(2)各階に停車するため、エレベーターが往復するのに時間がかかるという問題に取り組んだ。エレベーターの往復速度を上げるには、停止する階を減らすのが有効だ。

 そこで、通勤時間帯の9時~10時に限ってエレベーターが止まる階数を半減させるために、2つの解決策を考えた。それが、エレベーターを半分ずつ、A「停止階を偶数階と奇数階に分ける」、B「(低層階と高層階用のエレベーターの中でそれぞれ)停止階を上・下階に分ける」方法だ。では、いずれがより有効だったのだろうか。

 エレベーターのシステムを変えてしまえば手っ取り早く行えそうなこの実験。しかし、そう簡単にはいかなかった。なぜなら、アルゴリズムの変更だけで約500万円かかり、実装までに4ヵ月を要するとわかったからだ。現在のオフィスは自社ビルではなく、原状回復の義務も生じるため、システムに手を入れるのは現実的ではなかった。

 そのため、まずはエレベーター内で停止させない階数ボタンに「9:00~10:00×」といったシールを貼るアナログな方法で、ABテストを行うことにした。

リクルートエレベーターボタンエレベーター内の階数ボタン。「9:00~10:00」の時間帯に押してはいけない階数には、シールを貼って対策を行った。このエレベーターには、偶数階に停止させないようシールが貼ってある

 最初の1週間で行ったのが、Aの「停止階を偶数階と奇数階に分ける」方法だ。そして次の1週間で「停止階を上・下階に分ける」方法を行った。

 その結果、Bの「上・下階に分ける」よりも、Aの「偶数階と奇数階に分ける」方がより有効であることが判明した。

 Bではいくら上と下で止まる階が分かれているとはいえ、各階に停止するのが嫌だという心理が働いたようだ。一方の「偶数階と奇数階に分けた」場合では、もし自分のフロアに止まらないエレベーターでも「1階分くらいは階段を使えばいいか」と思って乗り込む人が多かった。

 実証前(各階に停車)との比較では、エレベーターの平均待ち時間は30秒強から20秒程度にまで改善した。また、待ち時間が1分以上になる割合も、17%超から9%にまで下がるという結果をもたらした。