ところで、たいていの給水ポンプは、メーカーや業界から「5~10年でオーバーホールをする」、あるいは「15~20年で更新する」などと耐用年数や推奨期間が提示されている。そのため、管理会社は「耐用年数が過ぎたので、2台同時に交換しましょう」などと言って見積もりを持ってくるのが常だ。この場合のコストは新規の給水ポンプ代2台分となる。

 どうだろう。前述のように事後保全でも問題なく機能することを考えれば、壊れてもいないものを、2倍も3倍ものコストをかけて予防保全をする必要があると思われるだろうか?

「壊れたら直す」のスタンスで
コスト削減につなげる

 マンションによって価値観は大きく異なるので、どこのマンションでもこうすればいいとはいえないが、例えば、以下のような事例は、事後保全の考え方で対応すれば十分だろう。

 ・廊下の電球:電球が切れるまで使い、切れたら交換する。
 ・自動火災報知器:点検で不合格になったり、何度も誤作動を起こしたりした場合は、その故障部分を修理する。
 ・自動ドア:オートロックではない部分の自動ドアについては、故障したら修理・交換する。
 ・池などの循環ポンプ:壊れたら修理・交換する。
 ・増圧直結方式への給水システム変更:寿命や故障などで、給水ポンプや受水槽を交換しなければならない時期が来たら実施する。

 先に挙げた機械式駐車場やエレベーターのように、故障したらすぐ致命的な状況に陥る設備は別として、マンション内にはこのように「壊れたら直す」という事後保全の考え方で対応しても大丈夫な設備がいくつもある。すでに説明したように、事後保全にはコスト削減という点でもメリットが大きい。

 しかし、残念ながら、世の中にあるのは「予防保全のほうが安心で、メリットも大きいですよ」というスタンスの管理会社ばかりだ。事後保全のメリットを理解し、適材適所で事後保全を行うことをセールスポイントにする管理会社が出てこないのは非常に残念なことである。