このような統計の恣意的な運用が行われている背景には、上述のように総選挙が近付いており、モディ政権の実績を上げる必要性に迫られていることも影響していると考えられる。一連の改訂により、モディ政権下での平均成長率は+7.5%(←+7.3%)となり、シン前政権下での平均成長率が+6.7%(←+7.9%)と単純に比較すれば、数字の上では成果を挙げていると評価することができる。ただし、足下の景気は急速に頭打ちの様相を強めており、モディ政権が厳しい状況に直面している事態は変わっていない。

足元の景気は頭打ち。GDP上では消費は堅調だが

 昨年10-12月の実質GDP成長率は前年同期比+6.6%に鈍化して5四半期ぶりに7%を下回る伸びに留まり、供給サイドの統計である実質GVA成長率も同+6.3%と同様に鈍化傾向を強めるなど、足下の景気は頭打ちしている。

 GDP成長率の内訳をみると、頭打ちの様相をみせているものの、最も寄与度が大きいのは家計消費であるなど、12億人を上回る巨大な人口を背景とする旺盛な消費が牽引役である姿がうかがえる。しかし、こうした状況については、他の経済指標をみる限りはにわかに信じがたいというのも事実である。

 インドにおいても近年のインターネットの普及に伴い、EC(電子商取引)の取り扱いが急速に拡大しているほか、2016年末に実施された高額紙幣廃止制度に伴い「キャッシュレス」も普及し、以前に比べて実態把握はしやすくなったと考えられる。しかし、上述の通り同国では小売売上高に関する指標は整備されていない。よって、現時点において個人消費の動向をみる上で分かりやすいのは、近年普及が進む四輪車や、長らく日常の足として活躍する二輪車の販売動向である。四輪車はローンを組む必要があるために金融市場の動向を推し量る上でも重要であり、二輪車は現金払いも多くみられるなど消費動向に沿ったものと考えられる。