鎌田:お互いに尊敬できて、「この人といると自分の力が伸びる」と感じられる人とチームを組めれば、とてもいいと思います。

 起業家がよくやってしまうミスは、「役割」だけを考えて仲間を集めることです。最近だと、「自分はプログラミングができないから」と、エンジニアを共同創業者にするケースが非常に多い。またはその逆に、「自分はビジネスの経験が少ないから」という理由で、事業開発の経験が豊富な大人を招き入れるケースもよく見かけます。

 これはこれで大事な要素ですが、会社が成長していくと共同創業者の役割は徐々に変わっていくものです。ですから、特に共同創業者は、役割だけで選んではダメ。お互い成長を促し合う関係を築けそうな仲間を選ぶべきでしょう。

Gunosyは大学院の研究室仲間が生み出した

馬田:そのような仲間を探す際、年齢は関係あると思いますか? 先ほど「同じ分野で頑張っている同世代の起業家」が身近にいるとベターだとおっしゃっていましたが、年が離れていても刺激し合える関係は築けるのではないでしょうか?

鎌田:おっしゃる通り、人の好奇心は年齢では測れないので、年齢は単なる目安でしかありません。とはいえ、世代が違い過ぎると、価値観が大きく異なるというのも事実です。なので、結果的に歳の近い人たちが集まっているというケースが多いように感じます。大学の同級生や旧友、新卒で入った会社の同期などは、物理的に一緒に過ごす時間が長くなるからでしょう。

 確か、人が単なる知り合いから親友と呼べるレベルまで親密になるには、200時間くらい必要だという研究もあったはずです。

馬田:米カンザス大学のジェフリー・ホール教授(Jeffrey A. Hall)が2018年に発表した、「How many hours does it take to make a friend ?」という研究論文ですね? 人は他人と200時間以上付き合うと親友になりやすいという研究結果が載っていました。

鎌田:この結果からも、起業した直後はよく知っている人同士でチームを作る確率が高くなるのは説明できると思います。

 東大発のスタートアップだと、例えばニュースアプリ「グノシー」の開発で起業したGunosyは、大学院の研究室で同級生だった3人で共同創業しています。また、私が支援するエレファンテックは、もともとゲーム仲間だった友人同士で会社を創業したそうです。ゲームって、熱中すると徹夜でやり続けることもあるじゃないですか。プレイに性格も表れますし。だから、結果的に仲間意識が強まり、共同創業に至ったのだと思います。

鎌田富久(かまだ・とみひさ)
東京大学大学院 理学系研究科情報科学 博士課程修了。理学博士。ACCESS共同創業者。東京大学在学中の1984年にACCESSを設立。組込み向けTCP/IP通信ソフトや、世界初の携帯電話向けWebブラウザなどを開発。Web技術の標準化団体であるW3Cに「Compact HTML」を提案するなど、モバイルインターネットの技術革新をけん引。2001年に東証マザーズに上場し、グローバルに事業を展開。2011年に退任。その後、TomyKを設立してエンジェル投資家に転身。同時に、2013年にGoogleが買収したSCHAFTの起業を支援するなど、ロボット、AI、IoT、人間拡張、宇宙、ゲノム、医療分野などのテクノロジースタートアップを成長させる「スタートアップ・ブースター」として活動する。
馬田隆明(うまだ・たかあき)
University of Torontoを卒業後、日本マイクロソフトに入社。「Microsoft Visual Studio」のプロダクトマネジャーやMicrosoftの最新技術を伝えるテクニカルエバンジェリストなどを務めた後、スタートアップの支援を行う。2016年6月より東京大学 産学協創推進本部にて学生や研究者のスタートアップ支援活動に従事し、学業以外のサイドプロジェクトを行う「東京大学 本郷テックガレージ」や、卒業生・現役生・研究者向けのスタートアップのインセプション(起点)プログラム『東京大学 FoundX』でディレクターを務めている。