介護士不足に対応する
「4つの選択肢」

 では、どのような対策が望ましいのか。第一の選択肢は、現状維持である。介護士を「やりがい搾取」し続けると同時に、「運の良い人は十分なサービスが受けられるが、運の悪い人は介護サービスが受けられない」状況が続くことになる。

 第二の選択肢は、介護サービスの基準を下げることである。例えば、介護を受ける人の入浴回数を必要最低限まで減らす、というようなイメージであろう。最低限のサービスが維持されるならば構わないような気もするが、介護士のやりがい搾取は続くことになる。

 第三の選択肢は、外国人介護士の受け入れである。日本人にとっては低賃金であっても、途上国の人にとっては高い賃金なら、雇われる外国人は幸せなのかもしれないし、十分な介護サービスが受けられる要介護者も幸せなのかもしれない。しかし、日本人介護士のやりがい搾取は続くことになる。

 第四の選択肢は、介護保険料の値上げによって日本人介護士の待遇を改善して、十分な介護労働力を確保することである。要介護者は十分な介護を受けられるようになり、日本人介護士のやりがい搾取は不要になるが、問題は一般国民が負担増を受け入れるか否かである。

「介護保険料を値上げしますが、よろしいですか?」と聞かれれば、誰でもうれしくはないはずだ。

 さて、本稿をここまで読み進めてきた読者の皆さんは、「私たちは、介護保険料の値上げは嫌です。その結果、介護士のやりがい搾取が続いても、要介護者の受けるサービスが低下しても構いません」という選択肢にイエスと答えるだろうか、ノーと答えるだろうか。