横浜市の公立中学校の
給食実施率はゼロ

 また、給食の有無や、その充実度も自治体によって大きく事情が異なる。

 小中学校の昼食には、「完全給食(ミルク、おかず、主食)」、「補食給食(ミルク、おかずのみ)」、「ミルク給食(ミルクのみ)」、「給食なし」の4パターンがある。そもそも学校給食が実施されていない自治体も、まだ少なくない。

 前述の文部科学省「平成30年度学校給食実施状況調査」を参照すると、全国の完全給食実施率は、公立小学校は98.8%だが、公立中学校では79.0%とやや数値が下がる。

「神奈川、近畿地方、高知、広島、九州北部の各県の完全給食実施率は低く、そのなかでも特に、横浜市の公立中学校の完全給食実施率は何と0%。完全給食以外だと、給食費が少ない、もしくはゼロですから、給食費を支援する就学援助の金額も少なくなる。貧困解決にならないのが現状です」

 2016年7月、横浜市は市立中学校12校で給食の代わりに「ハマ弁」という配達弁当を導入。2017年1月には、全145の市立中学校に拡大したが、「おいしくない」との評判が多数で、昨年12月の利用率はわずか2.6%と、まったく普及していない。

 しかし、ハマ弁の利用率が上がらないのは、味以外にも大きな理由があると、鳫氏は指摘する。

「これは横浜市独自の制度なのですが、子どもの立場になって考えてないことは明らか。というのも利用者が少ないのは単に味の問題だけでなく、周りの友人から『あの子は弁当をつくってもらえなくてかわいそう』などと思われることを気にするあまり、非常に注文しづらいという背景があるのです」

 学校給食の歴史を振り返ると、始まりは1889(明治22年)年、山形県鶴岡町(現・鶴岡市)の忠愛小学校で貧困児童を対象に無償で行われたのが発祥といわれている。

 鳫氏によれば、その後も貧困救済として給食を支給される子どもに負い目を感じさせないよう、教師たちも気遣う必要があったという。横浜市は、学校給食制度当初と同じ問題を抱えているのだ。