批判が多くても
なぜ本が売れるのか?

 なぜ、のぶみさんの作品は、これほどまでに話題に上るのだろうか?そして炎上してもなぜ本が売れるのか。図書館司書児童担当の研修を行う子どもの本の専門家で、家庭文庫「子どもの本の家ちゅうりっぷ」の主宰もする神保和子さんは、『ママがおばけになっちゃった!』が発売された当初から、子どもに与える心理的な悪影響を危惧していた1人である。

「のぶみさんが相手にしているのは、小さな子どもを育てるお母さんたちです。彼は、『お母さんたちが買ってくれる』という部分だけをマーケティングし、『大人にウケる』、あるいは『私、こんなに頑張っている』と承認欲求の強い母親が泣けるという部分に焦点を当ててきたのでしょう。そこに『売らんかな』というあざとさが見え隠れしています。お母さんの向こう側にいる、幼い子どもの発達段階や心理というものをまったく気にかけていないのです」

「だからこそ母子分離不安をあおる『ママがおばけになっちゃった!』のような、死を軽視し、子どもを不安に陥れる作品が描けてしまうのです。あの絵本がメディアによって持ち上げられ大ヒットしたことで注目を浴び、その作品がはらむ問題性がクローズアップされました。しかし、のぶみさんと彼を持ち上げる周囲の者は2匹目、3匹目のどじょうを狙ってくるのです。でも、読者はバカではありません。作品が発表されるたびに、だんだんと彼のあざとさに気づいていったのです。そして次第に彼の作品に目を凝らし、問題を見つけるようになっているのだと思います」(神保さん)

 のぶみさんの本が売れるのは、彼が母親の承認欲求を意識して作った絵本に共感する母親が多いということだろう。そして、中身よりも宣伝力で売れた子どもの本は、読者がその価値のなさに気づいた瞬間から、真逆の立場に転じて炎上という現象につながっていると考えられる。