絵本作家としての姿勢が
疑問視される

 のぶみさんの絵本には、母親や女性の自己主張が全面的に、しかも文章で分かりやすく「私」として登場する。今の女性が子どもとの関係で問われる「子育ての現実」を、開き直って作品にしている点は確かに面白い。また、その「子育ての現実」にぴったりハマると感じる読者には「本当に共感する」1冊だろう。

「ハローキティのえほん」シリーズのキティは母親ではないが、訴求ポイントはこれまでの作品と同様だ。ベースにあるのは、これまでのキティ像と対比させ「本当はこんなよい子風には見られたくなかった」である。

 のぶみさんのファンが多く、また絵本が売れる背景には、神保さんの指摘する「承認欲求」が子育ての中で満たされていない母親や女性が多いということかもしれない。それはもちろん、日本の社会の問題として考えなければならないことだ。

 だが、のぶみさん以外にも、日本の家族や子育ての現状を絵本で表面化し、一部で問題視された子どもの本はたくさんあるのだが、どうも炎上にいたるまでの経緯が、他の作品や作家とのぶみさんでは異なっているように感じるのである。

 例えば以下の対談のように、のぶみさんが「子どもの持つ資質を意図的に利用した大人に訴える本が売れる」と述べ、さらにそれが自分の作品の特徴であると強調し、炎上している点などがそうだ。

「ちょっと絵本作家らしくないことをバンバンやったり、僕の絵本で一番わかりやすいのは、もう会話文が違うんですよ。昔の会話文と違くしてて。テンポもリズムも変えてるんですね。『イケメン』っていう言葉とか、『スマホ』とかいうのも、使っちゃ絶対ダメだって言われてるんだけど、僕はだから使うんですよ」

「(中略) 子供は、正直なにを見せられても、『あっ』って反応はするけど、そんなに拒否とかはしないんですよ。子供って出版社に感想を送れないから。だから、お母さんがやってかないといけないし、でもお母さんは『これと『妖怪ウォッチ』、どっちがおもしろい?』っていったら、『妖怪ウォッチ』だっていうこともわかってるんですよね」(「会議を見せるテレビ第14回#5/7」のぶみさんコメントから)

 のぶみさんは、似たようなコメントをSNSなどでも語っているが、子どもを対象にした絵本作家の姿勢としては、一般的に理解されにくいだろう。

 若い作家が新しいことをやりたいという気持ちは歓迎されるべきだが、子ども向けの本なのだから、まずは子どもの目線を持つことが第一だ。言葉選びに対するのぶみさんの考え方を含め、子どもの心の成長を支えることが子どもの本の役目と考える人々から見れば、のぶみさんの本には嫌悪感しか湧いてこないのだ。