「まず、メディアが一部の『非弁業者』を、あたかも働く人々の“救世主”のように取り上げたことの影響が大きい。これなら俺でもできると、弁護士資格のない有象無象の代行業者が跋扈するようになったことが最大の要因です」(前出・記者)

弁護士とタッグを組む
悪質業者も跋扈

 弁護士資格のない者が、依頼者と会社の間に入って退職の交渉をすることは、弁護士法で禁じられている「非弁行為」にあたり、もちろん違法だ。ではなぜ、そんな「非弁業者」が跋扈する事態となっているのか。

嵩原安三郎(たけはら・やすさぶろう)/弁護士。フォーゲル綜合法律事務所所属。1970年沖縄県生まれ。京都大学卒業後、1999年に弁護士登録。情報商材や副業詐欺など悪徳商法案件を数多く手がけるスペシャリスト

 企業法務、労働問題を専門にするフォーゲル綜合法律事務所の嵩原安三郎氏は「大半の民間業者はグレー、もしくは完全に違法といっていいかと思います」と語り、次のように続けた。

「依頼者の代わりに退職の意向を会社に伝えるだけ。だから非弁に当たらないというのが彼らの言い分ですが、仮に伝言だけでも非弁に当たると考える法曹関係者は多い。百歩譲ってそこはグレー領域だとしても、現実問題、退職の伝言だけで円満に退社できるほど甘いものではありません」

「うちの事務所でも退職代行業務を行っているのでよく分かりますが、会社側にも当然言い分があり、何らかの対応がどうしても必要になってくる場合がほとんどです。そうなると非弁の業者は何もできない。下手に交渉をすれば一発アウトですから。最近は会社のほうも知識がついてきて、退職代行を名乗る業者から連絡がきても、非弁と分かると相手にしなくなってきています」

 ネット上には退職代行業の広告があふれているが、業者は2つに分かれる。フォーゲル綜合法律事務所のような弁護士法人か、弁護士資格のない“非弁”の民間会社だ。