ドナルド・トランプ米大統領は対中貿易交渉の行き詰まりを受けて、新たな追加関税を中国に突き付けた。これを受けて6日の金融市場は混乱した。われわれは、関税による瀬戸際戦略が建設的合意という形で実を結ぶのか、両国に打撃を与える応酬の激化につながるのか、間もなく知ることになるだろう。トランプ氏の一方的な関税措置はこれまで、米国の貿易赤字に関する曖昧な分析に基づいた怪しい論理によるものだった。鉄鋼・アルミニウム関税では同盟諸国との無用な対立を招いた。しかし、関税措置が十分に正当化される相手国が一つだけがある。それが中国だ。中国はこれまで、自ら同意し利益を得てきた国際貿易規則に、あまりにも頻繁に違反してきた。企業秘密や知的財産権を盗み、懲罰的規則によって外国企業に不利な条件を課してきた。中国による自由貿易の悪用は、米国内で自由貿易への政治的支持を弱めてきた。