(3)集団→個人の順で質問する。前述のセミナーの例のように、いきなり名指しで問いかけられた場合の心理的なプレッシャーは、かなり高いものとなります。まずは全体に対して質問を行い、ある程度答えやすい雰囲気をつくってから、個別の質問に移りましょう。

 たとえば私の場合だと、研修の最初のほう、自己紹介のときにまず質問を織り交ぜるようにしています。私は劇団四季で仕事をしていたことがあるので、最初は「劇団四季という名前をご存じの方、どのくらいいらっしゃいますか。ご存じの方、手を挙げていただけますでしょうか」という質問から入ります。劇団四季についてはたいていの方がご存じのため、ほぼ100%の方が自分ごととして手を挙げることができます。

「では、劇団四季のライオンキングをご覧になったという方、どのくらいいらっしゃいますか?」と再度全体に尋ねます。大都市の一般的な企業研修であれば、ゼロということはまずありません。多いときには3割程度の方が手を挙げてくださいます。

 そして、個別の質問に移ります。手を挙げた方に対して、「何か印象に残っている場面はありますか」など。観ていた方だと、何らかの答えは返していただけるので、そこで少しだけ会話を行います。ここでも質問に配慮をしています。

 たとえば「どの場面が印象に残っていますか」と尋ねると、いずれかの場面の印象は残っているはず、という前提が付与され、「実は何も印象に残っていない」という答えが許されなくなります。どう答えても構わない尋ね方をすべきです。

手あげ式の質問で有効な
「グー、チョキ、パー」

 聴き手によっては、特定の人が手を挙げるということに対して抵抗を感じている場合もあります。その場合は、もっと回答のハードルを下げねばなりません。たとえば高校でのキャリア授業などのときは、そんな雰囲気を感じることがあります。

 その場合は「少し教えて欲しいのだけど、みんな就職についてどのくらい興味や関心がありますか。結構関心があるという人はパー、まあまあ関心があるという人はチョキ、あまり考えたことがないという人はグーを出してください」と尋ねます。

 この問いだと全員が手を挙げることになり、恥ずかしさは減ります。なおかつ自己開示も比較的容易にすることができるようです。パーが多い場合は「じゃあ今日は頑張ろう!」と応じ、グーが多い場合は「じゃあ今日は始めの一歩にしよう!」と働きかけることからスタートできます。