耐震性不十分な住宅が
数多く流通している

 国土交通省の推計では住宅の耐震化率は約79%。1981年の建築基準法改正以前の、「旧耐震」物件の中にまだ1050万戸の耐震性不十分な物件があるとされる(下図参照)。

 その一方で、中古住宅流通が活発化する中、築年数の古い物件の取引も増えている。首都圏の中古マンションでは、築30年超の物件取引が、10年前の4.8%から12.5%に増加(東日本不動産流通機構調べ)。「耐震性の確保をどう考えるか」は切実な問題となってきた。

  「一般に築15年ごろ1回目の大規模修繕、30年ごろ2回目の大規模修繕が行われます。人間の体と同じで、マンションも老朽化が進むとあちこち不具合が重なり始め、同じ大規模修繕でも費用がかさむようになります。3回目の大規模修繕前後で、そろそろ建て替えか、耐震改修か……という話が出がちです」(旭化成不動産レジデンス マンション建替え研究所所長・向田慎二氏)

 もちろん、耐震診断と耐震改修が終わっている物件を買えば問題ないわけだが、そこが不透明な場合も多い。「肝心の耐震診断自体を忌避するケースが多いのです。結果が新耐震基準を満たさないものであった場合、そのことを重要事項説明書に書かねばならないため、資産価値に影響するという懸念が生じるからです」(向田氏)

 こうした事実に目を背けず、自分で地震リスクを軽減していく方法を考えてみたい。

【地震対策 マンション編】

耐震性は物件で決まる
旧耐震はリスクを把握

 マンションの構造躯体は区分所有者の共有財産。個人では耐震診断も耐震補強もできない。耐震強度は物件選びの重要チェック項目だ。81年6月1日以降に建築確認を受けたマンションなら、新耐震基準で造られている。手抜き工事がない限り、震度6強~7の地震でも倒壊しないレベルの耐震強度だ。

 立地や予算の関係で旧耐震基準の物件を選択する場合は、建築士やホームインスペクター(住宅診断士)に耐震強度や劣化の状況を調査してもらうとよい。

 また、仲介会社を通じて管理会社や管理組合に問い合わせ、設計図書や大規模修繕工事・耐震補強工事などの履歴、大規模修繕計画、修繕積立金額、管理規約、管理費や修繕積立金の滞納状況などを確認することも重要だ。

 きちんと管理された物件ほど、応じてくれるはず。こうした情報から、管理状態や内在するリスクが読み取れる。