アジアの飲食店が老舗に取って代わる

 冒頭で取り上げた“お兄さんの掛け声”の対面販売は、最も「アメ横らしさ」を象徴するものだ。しかし、来街者の多くが外国人観光客であり、日本人客であってもネット通販に慣れた世代が増えた今では、昔のような売れ行きを期待することは難しい。

 ヤミ市の時代に創業した、輸入食品販売のカワチヤ食品を継ぐ経営者・茂木雅弘さんはこう語る。

「アメ横全体の商売が年々下降線を描く中で、貸店舗にして賃料を得たほうがもうかると考える経営者も少なくないのです」

 経営をあきらめた店主が店を畳んで賃貸に出したところ、「貸してほしい」と集まったテナントのほとんどは資金力のある外国人だった――“アメ横のアジア化”にはそんな裏事情がある。

 60年にわたりのれんを守り続けた古参の経営者は、この変化を次のように受け止めている。

「中国人や韓国人など、店頭に立つアジアの女性は働き者ですよ。これが今のアメ横のマーケットを引っ張っていることは否めません」

 商店街を形成してきた老舗が抜けたそのあとに入ってくるのは、日本のチェーン店か、はたまたアジア系の飲食店か――。都会のど真ん中の商店街はシャッター街化こそ避けてはいるものの、後継者問題のその先にあるのはほぼこの“二択”だ。

表面上の活気に店主たちの苦笑い

 もとより上野かいわいは、JRと京成線が交わる良好なアクセスもあり、インバウンド客を多く集める一大観光スポットだ。アメ横だけでも年間で推計3000万人が来街するが、商店街の運営側はこの“にぎわい”を手放しで喜んではいない。